亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

金市場で目立つETF残高の減少

2019年04月11日 00時09分50秒 | 金市場
主な経済指標の発表のない中で目立ったのは、リスクオンからオフへの針の振れ方だった。
4月9日のNY市場の金価格は、ここまでの米国株高、中国株高に象徴されるリスクオン・センチメントが後退する中で、続伸となった。国際通貨基金(IMF)が最新の世界経済見通し(WEO、World Economic Outlook)を発表。2019年の世界全体の実質経済成長率を6ヵ月で3回目となる下方修正を発表したことから、株式市場では警戒感が台頭、利益確定の売りが広がることになった。

米国ではトランプ大統領が、欧州連合(EU)から輸入する110億ドルの物品に対し追加関税を掛ける方針を明らかにし、EU側も対抗措置を検討と伝えられたことも市場の警戒感を高めさせた。この中でドルが弱含んだこともあり、金市場では買いが優勢となった。3営業日続伸で3月27日以来、ほぼ2週間ぶりの高値水準での終了。終値は2営業日連続で1300ドル超となった。目に付いたのはETFの残高がこのところ減少が続いていること。最大銘柄「SPDR(スパイダー)ゴールド・シェア」の残高は、4月10日までの7営業日連続で減少となっている。2016年11月に11営業日連続減少があり、それ以来のこと。ただし1日当たりの減少量は少ない。現物由来のETFの解約売りが続く中での価格の上昇は、NY先物市場でのファンドの買いに主導されたものと思われる。

IMFは9日発表した世界経済見通しで、2019年の成長見通しを1月時点の見通しから0.2%引き下げ3.3%とした。この水準は2016年以来の低い伸びとなるもの。米国の経済見通しも従来の2.5%から2.3%に、ユーロ圏は1.6%から1.3%に引き下げた。すでにEUでは、欧州中銀(ECB)が厳しい見通しを公表し成長率を下方修正するなど、減速については一定の織り込みが進んでいるものの、改めて市場は反応。特にこのところ上昇が続き昨年10月の高値圏に達していた米国株式にとっては、今月下旬にかけて本格化する1-3月期の決算発表を前に利益確定のきっかけとなったと見られる。



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