亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

気が付けばまた地政学リスクが浮上 (+サンプラザで2時間セミナー)

2019年04月09日 15時36分50秒 | 国際情勢
8日は、主要な経済指標の発表のないなかで地政学的リスクに目が向けられた。東西に分裂し内戦状態にあるリビアで軍事衝突が激化し、供給減少懸念から原油価格がこのところの高値を更新(WTI原油終値64.40ドル)。原油高を材料にメキシコペソ、ノルウェークローネなど原油関連通貨に加え、ユーロや豪ドルも上昇し、ドルが全方位で弱含みとなり金が買われることに。

この日トランプ政権が、イランの革命防衛隊をテロ組織に指定すると発表したことも原油価格を刺激したと見られる。イラン政府指導部の親衛隊的な性格を持つ軍隊だが、米国ならずとも一国の政府が、外国の国家機関の一部をテロ組織として指定するのは初めての事例と思われる。トランプ大統領は、「イランは国政として革命防衛隊を通してテロに積極参加している」とした。指定されたことで4月15日以降、同革命防衛隊とのあらゆる商取引が、テロを支援する犯罪行為とみなされるとのこと。

 この決定は強硬派で知られるボルトン大統領補佐官(国家安全保障問題担当)、ポンペオ国務長官が中心となり検討を続けてきたものとされる。米国政府の発表に対し、イラン側は当面の対抗措置として「イランは米軍をテロ組織とみなし、『イスラム国(IS)』と同列に対処する」としたとされる(ロイター)。

3月下旬には、イスラエルのネタニヤフ首相が、シリアとの国境地帯に広がり1967年の第3時中東戦争でシリアから奪ったゴラン高原の主権を宣言。それをトランプ大統領が認める文書に署名。アラブ諸国からの反発が強まっている折でもある。もともと国際法違反として、イスラエルによるゴラン高原の占領とその後の併合を国際社会は認めていない。米国による一方的な政策変更は、またまた中東情勢に一石を投じることに。イスラエルは足元で総選挙を迎えており、ネタニヤフ首相は汚職疑惑から支持率の低下が伝えられ、選挙も与野党接戦が伝えられている。言うまでもなくトランプ大統領による主権の承認は、同首相への支援であるとともに自身の大統領選への布石でもある。

日本国内の関心は低いが、欧州を中心に中東情勢は大きな懸念事項となっており、再び地政学リスクの高まりが意識されている。今後の金市場の値動きには、こうした要素も加わる可能性がある。


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ところで来週の月曜日、4月15日にいつもの中野サンプラザにて自前のセミナーを開催します。以前参加され登録している方には連絡済みとは思いますが、新たに目にされた方も参加ください。2時間のセミナーで、ライブならではの盛りだくさんの内容となります。個別材料の相互作用の中で新たな流れが生まれます。

今回は特に前半で、過去30年の米国を中心にしたカネの流れ、金融を中心にした全般的な流れを大枠でつかんだ上で、後半にて個別のテーマに入ろうと思っています。もちろん金市場についても取りあげます。渾身のセミナーに是非。


場所:中野サンプラザ(JR中野駅北口すぐ見える)  8階セミナールーム
時間は18時30分開始、20時30分終了
参加料はいつものように当日1000円受付にて支払
事前申込制です。

協賛:損保ジャパン日本興亜、全国生協連
    (参加者の指名、住所等の個人情報は協賛社には渡りません。営業行為もありません)


詳細と申し込みは以下のサイトへ

http://www.fp-clue.com/seminarinfo199.html






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