亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

タカを装うハト?の下、金の下げは限定的だった

2019年09月19日 22時34分22秒 | 金市場
大方の予想通り25bp(0.25%)の利下げを決めたFOMC。これで政策金利は1.75~2.00%となった。ただし、今後の追加緩和については明確な見通しを示さなかった。今回の会合の参加者17名全員(匿名)が提出した政策金利の見通しの分布図(ドット・プロット)の中央値は、年内の利下げはこれで終了したことを表している。さらに17名中10名が、年内これ以上の利下げは必要ないとの見方を示していた。市場はややタカ派的との受け止め方をする参加者が多いとされる。

声明文と経済予測が発表された後に2段構えで下げた金。下値は1490.70ドルだった。8月下旬には50bp(0.5%)の大幅利下げ予想まで見られたことから、相場展開の印象としては1470あるいは1480ドル台くらいまでの下げが予想できたが、そこまでには至らず1500ドル台を回復。株式市場も同じで、NYダウは声明文・経済見通しの発表後に一時は前日比200ドル超まで売られたものの、終盤に値を戻し最終的には36ドル高で終了となった。

これはパウエル議長が記者会見にて柔軟な姿勢を示したことによる。議長は米経済は良い状態(good shape)が継続しているとし、利下げはリスクに対する保険とした。世界経済と貿易摩擦をめぐる状況は一段と悪化しており、経済が弱まれば、より大きな利下げが必要になる可能性があるとした。つまり必要に応じ積極的な措置を取る用意があることを明言した。不透明性が存在し、予想より早くバランスシートを拡大する可能性もあるとも述べている。

足元の金融政策のポイントは市場センチメントのコントロールにあると思われるが、議長は声明文やドット・プロットの与える印象を和らげうまく収めたということだと思う。なお、年内後1回の利下げを見込むメンバーが7名存在したが、全員が投票権を有しているとみられることも、株価や金価格をサポートしたと思われる。つまり年内後1回利下げされる可能性がある。

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