亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

綱引き状態(膠着)の金市場

2014年04月21日 23時37分57秒 | 金市場
感謝祭の連休で本日はロンドンがまだ休み。NYは開いている。しかし、本日のNY時間外のアジアの時間帯の金価格は、早い時間は買い先行で1300ドル超で推移するも、早々に売り崩されるような展開となり、その後はズルズルと値を消した。スタート時とは打って変わって一時は1280ドル台前半まで売り込まれたのは、取引量が薄いこともあり少しまとまった注文が出るだけで値を消したのだろう。

足元の金市場は上下に決定打となる材料が見当たらない中で、発表される経済指標や個別の材料に反応しながらのレンジ相場。ただし先週は、週後半にETFの最大銘柄「SPDRゴールド・シェア」に久々に2日で12トンというまとまった売り物が出るなど、どちらかというと下値トライのパターン。具体的にはウクライナ情勢が引き続きサポート要因であるのに対し、米国からみのデータは売り要因となっている。というのも景気指標は概ね回復基調を示しており、FRBによる低金利策はいずれ反転終了し金利の上昇につながる、したがって金は売りという判断になっている。

ウクライナをめぐっては先週は4月17日にスイスのジュネーヴで米欧ロシア・ウクライナ間の話し合いが持たれ、予定を遥かに超え6時間を超える時間を掛けてやっと合意文書がまとめられた。とにかく形にすることが大命題だったのだろう。終了後の米ロ双方の外相の記者会見は、“合意”の解釈にズレがあったように見られたが、その後もなんら改善の兆しが見られていないことから、緊張状態が続いている。親ロシア派の武装解除が速やかに進まない場合は、ロシアに追加制裁を課すとしていた17日の合意成立を受けたオバマ大統領のコメントは、自然消滅状態か。

はっきり言って、今回の合意も実効支配という既成事実の前に時間の経過とともになし崩しになりそうな気配に見える。そもそもウクライナは、1994年に米英とロシアの合意の上の「ブタペスト覚書」で核を放棄するかわりに独立と領土保全を約束された経緯がある。その約束を反故にされたにもかかわらず、いわゆる“西側”は対抗できず、いつのまにか“これ以上の拡大を防ぐ”ことに汲々としている(4者合意)のが現状となっている。

米国の影響力の低下を、同盟国イスラエルは「自分たち以外は誰も頼れない(同国国防相)」と捉え、中国は「アジアの安全はアジアの国々で解決できる(王毅外相)」として、アジアの問題に米国は口を挟むな・・・というスタンスを取り始めている。
こうした中、来月にはプーチン大統領がその中国を訪問し、アジアの安全保障問題を話し合いとされる。


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