足元の市場を主導しているのは、並行して進むドル高と原油の下落。FRBの利上げにともない教科書的な反応といえる主要通貨に対するドルの上昇が見られた。イエレン議長が米国景気の見通しに強気の姿勢を示したことが、改めて材料視されたとの指摘もある。この結果、ドル指数(DXY)は一時99.29ポイントまで上昇し12月3日に欧州中銀(ECB)の政策理事会後に急落する前の水準に復帰することになった。NYの早朝、日本時間の今夜の時点でも99ポイント台を維持している。
この中で商品市場はエネルギーとメタルは総崩れで代表的商品指数であるロイター・コアコモディティCRB指数は170.7013とついに170ポイント割れが迫ってきた。こちらは2002年7月15日以来の安値。商品指数に下げ止まりの気配が見られないことは、景気の冷え込みを印象づけ言うまでもなく「過熱」には遠い。その中での米国の利上げには、違和感は拭えない。
結局、FRBの利上げは、まずは「政策手段の確保」。さらにメリット、デメリットを天秤に掛けた上で景気への弊害に目をつむった上でスーパー緩和策の弊害回避を優先したものと思われる。利上げはしたものの、これからが問題だろう。年明け以降に発表される主要経済指標が下振れすることも十分予想され、その際に利上げ判断の正しさを評価されることになりそうだ。指標の悪化が見られれば、利上げが早すぎたのではないかとの憶測を呼ぶことを意味する。
昨日は12月のフィラデルフィア地区連銀業況指数は11月のプラス1.9からマイナス5.9に低下していた。市場予想はプラス1.5となっていたので予想外の低下といえる。実際の予想レンジはマイナス5.0からプラス1.9となっており予想の下限をも下回る結果でもある。先行きの設備投資や雇用見通しも低下しており、米製造業に逆風が引いていることを表している。ドル高の弊害と思われる。
さて農産物以外のコモディティ総崩れの中で売られた金だが、1050割れで中国の買い引き合いが活発化している。