米国の長短金利差を日々チェックしているが、一般的には10年債(国債)の利回りから2年債の利回りを引いたものを使うが、30年債-10年債なども見る。金利差縮小から逆転は、近い将来の景気後退のシグナルとされる。近い将来といっても1年程度とする見方や、1年半から2年程度とまちまち。またこのデータを重視する人、軽視する人まちまち。しかし、過去、逆転現象が起きて以降に単純な景気後退にとどまらず、金融波乱が起きたりした経緯もあって、やはり注目度は高い。
FRBの中でもハト派を中心に言及する理事や地区連銀総裁も相応に存在する。近いところでは、先週末20日金曜日に、セントルイス連銀のブラード総裁が「逆イールドの発生は米国では現実的な可能性となっている」、「逆イールドは経済が弱体化する著効であり、このことに市場、および政策当局者は留意する必要がある」とした。
今週月曜日に日銀の長期金利コントロール(イールド・カーブ・コントロール)の柔軟化に対する思惑から、国内で長期金利が跳ね上がり、ドル円も急落するなど、ちょっとした騒ぎになったが、その動きが波及したものか、米長期金利も動意付き先週の2.84%から昨日(25日)は2.978%まで上昇。11年ぶりの接近となる0.249%に縮小していた金利差も、0.301%に一気に拡大となった。拡大すると利回り曲線が立ってくるのでスティープ化(steep)と呼ばれる。
さて、書こうとしたのはフラットからスティープへの移行よりも、いま米債市場で起きているファンドによるショート・ポジションの膨張について。
指標となる10年債の非商業筋すなわち投機筋(ファンド)のポジションは、ネット・ショート。つまり価格の先安(金利上昇)を読んで売り越しの状態にあること。米長期金利の上昇を読んでいる(債券価格の値下がり)ので、為替市場でのポジションはドル・ロングで整合性は取れている。さてさてさて、どこまで売り込むことができるか。先物ゆえに、先行きの買戻し(金利低下)圧力が溜まっていることになるが、これも明日の米GDPをにらんで組まれたものだろう。市場予想は前期比年率+4.1%。大統領は“GREAT Best financial numbers”だとしているので、それ以上の結果を示唆・・・か? ショートは報われるということか。