怒涛の急騰相場・・・・というべきか。1700ドル乗せから2日目には1800ドル大台を突破した金価格。その折に国内現物小売価格も消費税込みで1グラム4700円台となり1980年10月以来31年ぶりの水準と報じられた。1980年(昭和55年)1月にドル建て金価格が当時の瞬間最大風速値的な価格を記録した時の国内価格は1グラム6495円というのが大手地金商の店頭小売価格で、これが国内における過去最高値となる。ただし6000円以上の価格はわずか3営業日のみで、むしろこの1~2月の平均価格の5200~5300円というのが意味のある国内最高価格帯と捉えている。当時は消費税がなかったので、今に焼き直せば5500~5600円といったところか。金に対する貨幣価値の劣化がもっとも少ない日本ではあるけれど(31年前との比較で円が最強通貨)、それでも過去10年では3分の1以下になっている。その円は、いまだ対ドルで天井打ちとはいえず、ドル建て金価格との上昇率を競い合っている状況。
さて先週末から日本は夏休み集中週。かく言う当方も明日から休み。しかし今週はとりわけ米国関連では主要経済指標の発表が続く。すでに本日はNY連銀製造業景気指数が発表された。そもそもこの指標の悪化が、米国の減速を示すここまでの皮切りとなったのだが、約1時間ほど前に発表された結果は-7.72ポイントで「悪かった」。前回は-3.76で予想は+0.5ポイントだった。先週末金曜日の8月の米ミシガン大学消費者景況感指数(速報値)も前月の63.7からよもやの54.9に急低下しており、この中で株価がプラス圏を保ったのは小売の結果による。その影で目立たなかったが、水準としては1980年以来の低水準というものだった。
明日16日は7月の住宅着工に鉱工業生産、18日は同消費者物価指数(CPI)、同中古住宅販売、さらに8月のフィラデルフィア連銀製造業景気指数と続く。8月26日にはカンザス連銀のシンポジウムがワイオミングのジャクソンホールでのバーナンキ講演というと、昨年と同じ流れ。しかし、物価水準は違う。FRBがより踏み込んだ政策に向かうのか否かに市場の関心は集まるが、一方でFRBのそうした政策が果たして効果があるのか否かという論点も浮上しており金融当局に対する信認が落ちているのも否めない。さらに由々しき事態に入りつつある。
先週はETFの大量解約が見られたが、その割には値を保っているのは、こうした環境の成せる技。
KITCOヒストリカルチャートを見てみると
78年は150ドルから245位で推移し(倍率1.6)
79年は1月200台だった相場が500台まで上昇(倍率2.5)
80年には1月850台をつけ600付近で推移し(倍率0.6)
81年からは1月590付近から390付近へ(倍率0.6)
82年は400付近から490付近へと(倍率1.2)
83年は500から380付近へ(倍率0.72)
84年は400付近より310付近へと(倍率0.77)
最小の150から最大の850を考えると(倍率5.7)
最大の850から最後の310だと(倍率0.3)
それ以降は、300から400近辺で10年ほど安定?推移
その当時の世界的背景は別にして相場の断片だけをみてみると、倍率においては、まだまだ今回の比ではないのでしょうか?