何かのサプライズに反応したわけでもなく、複合要因で拮抗していた市場センチメントのバランスが、4月12日NYの午前10時過ぎのまとまった売り物に節目を破られることで暴落相場となった。下げ局面で見られる買戻し(ショート・カバー)による戻りも、売り仕掛けの機会とされ、一気に値を消し次のプログラムをヒット。後はこの繰り返し。
FOMCごとに繰り返される量的緩和策の規模縮小・停止の論議。その中で続いているNY株の過去最高値更新の動き。金利を生まない金から、より効率のいい対象への資金移動(金ETFの継続的な大口解約)。ファンドの買い建て取引(ロング)から売り建て取引へ(ショート)の転換。
それぞれが下げ要因ではあるが、緩和策停止も当面はなし、株も高値更新はあるが一時の勢いはなく高値更新の持続性にも疑問、新興国中銀の買いその他アジア買いがETF売りを緩和、その結果ファンドのショートも思ったほどの下げを作れず・・・という逆のベクトルもあり膠着状態。しかし、向きは上より下。
そうしたところに飛び出した地中海の小国キプロス救済スキームに謳われた保有金売却案。もちろんキプロスのプランが現実のものとなっても10トンのこと。それより大きな売りがETFでは日常茶飯。しかし、財政赤字の補てんなどを目的に中銀の資産売却は(金を含め)できないはずだが、国内金融安定のための注入用資本の調達のためならば、OKなのか?・・・と。キプロスは例外とは預金カットの際の言いわけだったが、金融が傷んでいるということであればスペインも同じ。1990年代に複数回にわたり金を手放すということがあったが、それでもなお281.6トンの金がある。
それぞれが単体では力不足だが、材料どおしが互いに共鳴するような感じになった。最後に背中を押したのは、NYでのレンジ破りの大量売りだった。1523割れでセンチメントはごろりと変わった。後は恐怖のモメンタム相場。一巡後に均衡点を探すことに。
それにしても本日のロンドンの時間帯での1400ドル割れだが、モメンタム相場の極致。ここまで急落した相場ゆえに、リバウンドも目立ったものになり乱高下につながりそうだ。
でもあの時と違うのはあまりに短時間に
ここまで落ちたこと。
金だけが激しいこと。
現物派の私、今勇気を出して買ってみようかという
気持ち半分、下落の恐怖感でやめようか半分です。
まさに相場は懐疑の中から育つのでしょう。
世界中がそうかもしれませんね。