3連休明け2月21日のNY金は続落となった。2月に入って以来、市場予想を上回る1月の米国指標の発表が相次いだが、この日発表された2月のデータも良かったことで、米利上げ長期化観測がさらに強まり、米長期金利は上昇し金は続落となった。
21日は前営業日比7.70ドル安の1842.50ドルで終了したが、この日の下値は1839.00ドルと前2営業日に比べ限定的なものとなった。ドル指数(DXY)が104ポイント台まで上昇している割には、踏みとどまっているといえる。
年初1月の時点では、市場は米景気後退(リッセッション)入りを予想しドルは売られ、米金利も低下していたが、ここにきてのセンチメントの変化のスピードと度合いは大きく、インフレが低下する中で景気も緩やかに減速するというFRBが望むソフトランディングが見通せるという見方が増えている。
そればかりか、ここにきてFRBが景気抑制的な政策を推進する一方で経済成長は接地(着陸)せず飛び続ける(経済成長が持続する)「ノーランディング」との見方まで飛び出している。さすがに楽観に過ぎると思うのは、この先さらに利上げを重ねるのは、インフレ抑制のために景気を落とそうとするものゆえに、ランディングしないというのは考えにくい。
それでも21日S&Pグローバルが発表した2月の米PMI(購買担当者景況指数)速報値は、総合で50.2と前月確報値の46.8から上昇し好不況の境目の50を上回り、8カ月ぶりの高水準となった。なかでも2月の非製造業PMI速報値は50.5と昨年6月以来の50台を回復。米国経済の7割を消費が占めるサービス業の活動が活動拡大に回復したことでインフレの高止まりを連想させ、景気抑制的な利上げ継続を印象付けた。
2月もデータの好調さが続くのかと思わせたことで、米国債市場の反応が大きくなり、利回りは急騰。米10年債は直近の水準をさらに上抜け、一時3.962%と昨年11月以来の水準に上昇し3.955%で終了。金融政策の影響を受けやすい2年債利回りも一時4.746%と昨年11月来3カ月ぶりの水準に上昇し4.725%で終了した。
10年債は昨年10月さらに11月前半に4%を超えて2008年来の水準まで上昇し、その際にドル指数の上昇で先行して売られたNY金が、この4%超で1600ドル方向まで売り込まれた経緯がある。21日はさすがに米国株は大きく売られたが、その中でやはりNY金は比較的値を保ったいえる。
この底堅さは何ゆえか、それはゴールド独自のサポート要因が存在していることがある。ウクライナや台湾情勢に代表される地政学要因がそれ。米連邦債務上限問題に関連して予想される米国議会の混乱も地政学リスクの範疇といえる。そしてこの地政学リスクとも関連付けることもできるが、中央銀行によるゴールドの継続的な買いがある。
本日22日は1月31日~2月1日開催のFOMC議事要旨が発表される。もともと1月はメンバー予測が発表されないFOMCだったので議事要旨の注目度は当初から高かった。先週は、 クリーブランド連銀のメスター総裁とセントルイス連銀のブラード総裁がそれぞれ利上げ幅の0.25%への縮小を決めた2月のFOMCでは、0.5%の利上げを主張したことを明らかにした。この2人ともに今年の投票権を保有しておらず、0.25%利上げに反対票を投じることはできなかったが、他にも、どの程度0.5%利上げ支持者がいたのかなど、興味深い。