一連の米国指標が予想外に踏みとどまっていることを表す経済指標が続いたことで、FRBによる利上げ停止時期の先送り、すなわち利上げ継続を見込む動きが活発化している。
もともと5月まで後2回の利上げを見込み、政策金利は5.00~5.25%を前提にNY金の予想を立てていた。ここにきてインフレは鈍化しているものの、その動きは遅く、一定の高インフレ状態が続くとの見方が台頭したことが、FRBの引き締め策の延長戦入りを市場は織り込みながら進んでいる。
NY金にしても、1870ドル辺りからはジワジワと水準を切り下げており、23日は1826.80ドルだった。本日の1月の個人消費支出・所得統計に関連する価格指数(デフレーター)が、このところの鈍化はしているものの上昇率は予想を上回るというパターンとなれば、1810ドル台あるいは1800ドル割れを試すという展開も想定できるだろう。しかし、それでも押し目を拾う動きは続いているとみられる。2月に入り春節の需要期が終わったにも関わらず、中国上海価格がロンドン現物価格を上回る状態(プレミアム)が続いており、ここにきて30ドルを超える水準まで上がっている。一般的には引き合い(需要)の強さを表すものと理解される。1900割れには実需の買いが期待できると以前書いた。昨年夏にも同様の現象があり、その際は中国の金輸入が急増したことが後に確認された。
個人消費支出価格指数(PCEデフレーター)というと、23日に発表されたGDPの改定値に関連する四半期ベースのものも、同様に鈍化はすれど予想ほどではないという結果となっていた。
PCEデフレーターは、速報値の年率3.2%上昇から年率3.7%上昇に。食品とエネルギーを除いたPCEコアデフレーターも速報値の3.9%上昇から4.3%上昇にそれぞれ上昇改定された。 しかし、GDP自体は速報値の2.9%増から2.7%増に下方修正され、個人消費の減速改定(2.1%増⇒1.4%増)が目についた。昨年1~3月期以来の低い伸びで、景気には成長鈍化の兆しが表れている。
1月の小売売上高が予想外に良かったが、企業決算などからは、過剰在庫の値下げ販売なども目立っている。
経済のソフトランディングへの期待が高まる中で、ノーランディングとの見方が生まれるなど市場センチメントの“振れ” が見られているのは、下降トレンドの踊り場的なものと思われる。
いずれにしても米国の利上げサイクルは終盤に差し掛かっているという、全体マップに変わりはないと思う。