対応マニュアルがない？

「カトリーナ」の影響をどう読むのかという点に迷いのあるNY金融市場は、立ち止まったままだ。あるレポートを読んでいたら直接的な被害を被った３州（ルイジアナ、ミシシッピ、アラバマ）のGDP合計値（名目、2004年）はカリフォルニア州の4分の1以下とのこと（まぁカリフォルニアはフランスやイタリアに匹敵するくらい大きいのだけどね）。水に漬かってしまったニューオリンズがあるルイジアナ州は00～02年の3年間はマイナス成長で過去5年間で見た場合全米で最も景気が低迷している州だという。

確かに金融とか投資という分野では普段はまったく注目されることの無い地域ではある。注目の住宅バブル問題でも確かこの地域は値上がり率も４～６％程度で下から数えたほうが早かったはず（全米平均13％の上昇）。もともと連邦政府の財政赤字ばかり脚光を浴びるのだが、州政府の財政難も深刻で堤防補強の予算確保もままならぬという事情は理解できる。

それにしても外の敵に対しては手際よく世論も行動も統一されるのに、こうした問題には機能麻痺に陥るというのは、想定外＝マニュアルにない＝どうしていいか判らない、というある種manual-driven（？）型社会の盲点だろうか。ルイジアナ州の知事が被災直後の会見で「ただひたすら胸のつぶれる思い。使者の数すらつかめない」と泣き出さんばかりだったのは印象的。

復興にあたって議会は105億ドルの予算を承認しており、さらに追加予算として518億ドルが要求されている。合計623億ドルが投じられることになるが、これは同時多発テロ後の対応時に迫るものという。

金市場はこの日発表された7月の貿易収支の赤字が予想値より少なかったことを材料に（前月比2.6%減の579億ドル）ドルが買われ逆に売られた。前日に9ヵ月ぶりの高値に上ったこともあり、一気に手仕舞い売りが出たかたち。これが普通の反応。ここまでが普通じゃない動きだった。