さて日本も連休明けとなった13日の金市場の方は、アジアの時間帯から買い優勢が続き、レンジ切り上げの展開に移行。まず週明けは、NYの水準を維持しながらギア・チェンジ。アジアの後半、ロンドンのオープニングから(上下いずれかに)水準訂正的な動きが出るのは、このところの定番といえる。
米雇用統計については、市場の着眼点はFRBに合わせる形で従来の就業者数の増加と失業率の低下から、次のステップとして賃金の上昇ピッチに移っている。求人が増えるに従い、賃上げ傾向が高まるのが通常のパターンであり、それは同時にインフレ率を押し上げることになる。ところが、12月の時間当たり賃金は、前月比でマイナス(-0.5%)となった。記録的な就業者数の増加の中で、この結果はサプライズと言える。一言で表すなら“過熱感なき雇用増”となろうか。インフレ率がFRBの目標とする2%を下回る状況が長期化する中での今回の結果は、利上げ時期の先送りをイメージさせることになった。
そこに被さる下げが再加速しそうな原油価格。12日はゴールドマン・サックスが目先は40ドル割れもありとした。もっとも、ここはWTIが2008年に147ドルまで上げた時は、200ドル予想を出したことでも知られる。ゴールドマンの予想が当たるとは限らないということ。金についても同じ。ところで、ここに来て原油の下げは、生産超過よりもむしろ需要不足を映したもので、世界景気の減速をしめすものとの捉え方が優勢となっている。したがって原油の下げ拡大は株安につながる。
一部の産油国の経済危機の可能性に加え、シェールで沸いていた米石油産業関連でも、さすがに採算割れのところも増えていると見られ、中小の企業体が多いことから警戒感も高まっている。コモディティ分野で今回のような記録的な下げが見られると、その環境を利用した合従連衡が進み、業界地図が塗り替わることがある。要は、強いところはより強くというパターンが見られることになる。
話を金市場に戻すと、年始に懸念が高まった政局混乱に起因するギリシャの債務危機問題は、安定したわけではない。そこにフランスでのテロ発生に関連した(ユーロ圏での)社会不安の高まりも金市場に関心を向けさせる要素となっている。足元で中国の買いも高まっている。今年の春節は2月18日からで、かなり遅い。気が付けば金市場の刺激材料が増えている。