ウクライナ情勢を巡る警戒感が再燃する中で、NY金は昨年6月以来の1900ドル台の奪還ということになった。17日は為替市場でドルに対しスイス・フランや日本円が買われ、2週間ぶりの高値に上昇というのが、市場センチメントの変化を表していると思われた。スイスフランなどが買われると有事モードの高まりを思わせることによる。
米株の下げは、ダウ30種が622ドルと今年最大の下げということでニュース性を帯びたが、やはりナスダックの下げが大きく、注目はこちらだろう。 NY市場は来週の月曜日プレジデンツ・デー(大統領の日)の祭日となる関係で、この週末は3連休となる。
以前から見ているデータに株式の融資残がある。1月28日のラジオNIKKEIマーケット・プレス(前場)で取り上げたが、いわば信用残高だが昨年12月時点で9100億2100万ドルの残が残っていた。昨年夏に向けて急増し8月に過去最大の9100憶ドル台に乗った後に9月は若干減少。その後10月にまた増えて過去最大を更新し9358憶ドル台となっていた。前年夏からは3000億ドル(約35兆円)も増え、ゴールドマンのCFOまでこんなのは持たない、早晩崩れるといっていたほどだった。しかしその後、高止まりで12月は9100憶ドル台となっていた。
今週発表された1月の残高は、8296憶ドル台だった。1カ月で804憶ドルの減少だが、これだけ手仕舞い(清算)されたといえる。8.8%の減少となる。1カ月の減少額としては過去10年で最大で、新型コロナパンデミックで暴落状態となった20年3月は、前月から659億ドルの減少だった。絶対額が今より小さかったので12%の減少だった。 足元でレバレッジを利かせていたヘッジファンドの手仕舞い売りが株式市場で出ていると思われるが、いわゆる追証が掛かり強制手仕舞いというのもあるのだろう。一方でキャッシュリッチの機関投資家はボチボチ仕込みに入るというところだろうが、そこに立ちはだかるウクライナ・・・ということで、もうはマダナリということか・・・・
さて、17日はやっと昨年6月2日以来の高値1902.00ドルで終了したNY金。それなりに1900ドル超で売り物はこなしていたふうだが、本日は1900ドル手前で売り買い交錯状態で、NY入り待ち状況にある。米ロ間の駆け引きが続いているが、本日は双方どんな応酬があるのか。ウクライナ南東部ルガンスクなどでは、実際に火器の使用が伝えられているので、どのように展開するのか。連休前の株式市場も気になるが、日本時間の21時時点で先物はプラスで推移している。
足元の金市場の押し上げ要因は、ウクライナ情勢による地政学リスクであるのは間違いない。。しかし、インフレ高進リスクやインフレ抑制に向けて急激に引き締めに舵を切ろうとするFRBの政策転換に伴った市場の混乱など、水面下の複合要因にも関心を向ける必要がある。
冷たさ(米ロ冷戦)と熱さ(hot inflation)が混在する金市場というわけだ。