「寿命で尽きた20世紀後半の景気拡大はない。すべてFRBがつぶしてきた」
(米国際経済学者ルディガー・ドーンブッシュ)
年初から、ここでも告知した独自開催のオンライン・セミナーはじめ複数のYouTubeなどで取り上げた言葉がこれ。 この言葉が表すように、景気拡大の最終局面でインフレ傾向が強まりFRBが利上げを繰り返し、景気拡大の終えんとともに、状況により何らかのバブルが弾けてきたのが、自分に言わせると過去30年余りの米国金融史といえる。
そしてそれが、また繰り返されるのではと思いながら、この数年を過ごしてきた。(自分自身にとっても)そこにイレギュラーともいえる形で起きたのが新型コロナ禍といえる。(コロナの前から)一連の状況の中で金は最高値を更新すると読んだが、まずは2020年8月にそれは起きた。コロナバイアス故とも言えそうだ。その後も上下動を繰り返しながら、相場は続いている。
さて過去2日間取り上げた1月のFOMC議事要旨だが、市場の評価としてはNothing New というものだろう。FOMC当日のパウエル記者会見時の内容との比較で目立ったものはなかった、ということになった。インフレ率があまりに高いことから政策金利を近く引き上げることが妥当となるとし、引き締めペースを速めることも正当化されるとしただけで、後は、「政策の適切な道筋は、経済・金融情勢、および見通しへの影響と、見通しを巡るリスクに左右される」として、「毎回の会合で適切な政策スタンスを評価し直していく」とした。
つまり、議事要旨で示したのは、今後の状況次第で道筋はわかりません!そっちで決め打ちしないように!今後のデータ次第です!ということで、これは2月8日のここで「金価格もデータ次第なんです!!」と題して皮肉って書いた経緯がある。
3月の会合はメンバー全員による経済予測も公表される節目のFOMCとなることから、より具体的な方針説明はその際に行われるとみられ、3月に先送りしたという印象だ。それの方が、たしかに足元のウクライナ情勢にしても、2月雇用統計の平均時給や2月のCPIやその他重要データも見られ判断材料は多いのは言うまでもない。インフレ加速にしてもオミクロンバイアスも多少なりとも解けると思われるし。
こうなると、3月のFOMCに際してのメンバー予測(ドットチャート)や議長記者会見は言うまでもなく、その後の3月の議事要旨が最大注目ということになり、4月6日の市場は、ちょっとした騒ぎになるということか・・・と思った次第。。
昨日ここに単なるゲスと断った上で、MBS(住宅ローン担保証券)の直接売却の可能性について話し合っているのではとしたが、これは昨日の議事要旨に「将来のある時点で住宅ローン担保証券(MBS)を売却する」ことも含めて検討することに多くの参加者が言及したとあった。やはり1月時点でそこまで話し合っていたんだな・・・と。繰り返すが、意向表明を3月に先送りということで、今回の議事要旨を表すならば、インフレ対応で「衣の下に鎧」という印象となる。 これもマーケット・フレンドリーなパウエルFRBならではということか。。。
さて、ウクライナ情勢を巡り米欧ロ間で、種々駆け引きが続き、金市場の反応が見られている。高速取引が繰り返されている様子で、吹いたところに飛び付かないようにという印象ではある。