亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

「胃の痛む展開がどこまでも続く(表面的にはFRB利上げ観測で売られやすい金だが・・・)」

2015年01月05日 19時00分44秒 | 金市場
2日から取引が始まっている欧米市場、年末の上下に振れやすい環境が年明け後も続いている。

本日は東京の早朝にユーロが1.20割れへと急落。取引の薄い中で一時は1.90ドルも割れたようだ。すでに2日の市場でユーロ売りドル買い、そして付随する金売りのディールが見られ、その材料がドラギECB総裁のインタビュー内容だった。半年前に比べデフレの様相が濃くなる気配があり必要であれば今年の初めに行動する(量的緩和策の導入)用意があるというもので、2日付の独経済紙ハンデルスブラットが伝えた。

ロイターなどの伝えるところをまとめるならば、ディスインフレ状態の予想外に長期継続していること自体が良くない、これ以上待ってはいられない、手遅れになる・・・だから踏み込んだ策が必要で早々に着手するということのようだ。

すでに今月22日のECB理事会で量的緩和策の踏み込むことを市場は織り込んでおり、事実、ユーロ圏の国債は問題のあるギリシャなどを除いて急騰状態にある。2日は、イタリア国債など価格は1日で7%以上も上昇し利回りは1.728%に急低下。ドイツ債もついに0.502%と日本国債の後を追うような形になっている(日本債とは買いの主体が違うが・・・。言うまでもなくドイツ債は民間の買い)。

昨年秋以降にユーロ圏主要国の国債を買ってきた投資家は大儲けということを意味している。この上にECBが入ってくることになる。ドイツが、ECBの国債買付けに強硬に反対しているのは、うなづける面がある。ユーロ圏の銀行の中で、債券売却益で一息ついたところもあると思われ、これが銀行の救済策のひとつという解釈もできよう。しかし、バブルの様相を帯びていることは否めない。ばら撒かれたカネは貸し出しに回らず債券投資に向けられている。

ECBの理事会の予定されている1月22日といえば、年末のすったもんだの挙句にギリシャの総選挙の日程がその直後の25日(日)に滑り込むことになった。すでに想定されていたろうが、これも困ったもんだろう。選挙前にギリシャ国債の買取りまで含めた政策決定は悩ましい。“外のことは気にしておりません”というスタンスのFRB議長だが、FOMCは翌週すぐの27、28日となる。 結果如何によっては、果たして気にせずにいられるのか?

各国中銀関係者にとって、胃の痛む展開がどこまでも続きそうだ。表面的にはFRB利上げ観測で売られやすい金・・・というのは、確かにそうだが、現実はそう簡単ではないと思われる。

今週は、7日(水)にユーロ圏の消費者物価指数(CPI)の発表が予想されており、前年比マイナスが予想されている。ECBの政策を巡る思惑が先行しやすい環境といえる。同じ日には12月の米FOMC(連邦公開市場委員会)の議事録要旨の発表がある。そして言うまでもなく週末9日金曜日には米雇用統計が控える。2日のISM製造業景況指数は、非常にいい数字だったが、前月比ではマイナスで市場予想も下回り、ややネガティブに捉えられた。いい数字に目が肥えてしまって・・・・ということか。雇用統計もそうなるのではないか。


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