亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

恐る(畏怖)べきゲルマン

2015年01月06日 20時24分57秒 | 金市場
2015年の市場も時に荒れそうだとは思われたが、年始早々から波乱の展開になってきた。

ドイツの有力誌シュピーゲル(電子版)が伝えた「必要な場合はギリシャのユーロ圏離脱をドイツ政府は容認する方針」というドイツ政府筋の話とされる記事。2日に報じられたが週末を挟んで、その材料性というか威力は週明けに(近年使われる表現を借りるなら)バズーカ砲並みとなった。理屈の上では、ギリシャの離脱は悪しき前例をつくり、他の南欧重債務国への波及を連想させる。そうなると大混乱(カオス)というわけだ。

下げ止まらぬ原油という(プラスなのかマイナスなのかよくわからない故に)不安心理を煽る環境が、ギリシャ危機に対する懸念をさらに高めることになった。つまり、時に市場で見られる“負の共鳴現象”が見られている。こうなるとカネ余りの波間に漂う経済ゆえに不安心理は連鎖するので、同時株安が現出することになる。

件(くだん)のシュピーゲル誌の報道は、おそらく緊縮反対派の優勢が伝えられるギリシャに向けたドイツの(フランスも)“牽制発言”と思わる。外交ではよくある政治的駆け引きという類のものだろう。

とはいうものの、市場に与えた波紋の大きさには、花火を打ち上げた方にも戸惑いがありそうだ。しかし、投げかけられた波紋は波紋、事態はこのように紆余曲折を経ながら進展していく。

ところで5日の市場は、貴金属の中で金の上昇(17.80ドル高の1204.00ドル)がプラチナの上昇(7.00ドル高の1210.90ドル)を大きく上回り両銘柄の価格が接近することになった。これは市場でリスク‐オフ気運が高まっている際に見られるもの。ドルインデックスの上昇も厭わないパターン。ただし、こうした折にはドル円相場も、円高に傾く傾向がある。実際に5日の市場では120円台半ばに位置していたドル円相場は、119円台半ばに押し戻されることになった。つまり円建て金価格の上昇は、為替要因で削られやすい。

話をギリシャに対するドイツのスタンスに戻すと、2012年の危機に際して指摘されたのは、溺れそうな人を見かけた際に、浮き輪を投げ入れるのではなく、まず泳ぎ方を教えるのがドイツのやり方ということだった。なるほど言い得て妙と笑った。安易に浮き輪を投げ入れて甘やかしてはイケマセン!!というスタンスは変わっていないと見られる。恐るべきゲルマン。第2次世界大戦後に奇跡の復活を遂げた日本とドイツ。せっせと米国債を貯めこんだ国と片やせっせと金を貯めこんだ国という色分けもできる。

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