重要指標の多かった今週発表の米経済指標の中で、もっとも注目されていた13日の発表の1月の消費者物価指数(CPI)。
予想比上振れとなり、市場横断的に値動きが大きくなった。 すでに3月の見通しがほぼ消えていたFRBによる利下げのタイミングが、さらに後ずれするとの見方が広がり、13日のNY市場は、株安・債券安(利回り上昇)・ドル高に動いた。
CPI発表後の米長期金利の急伸とドル指数(DXY)の3カ月ぶりの高水準への上昇を受け、金市場も売りが膨らんだ。
発表前に2040ドルをやや上回る水準の取引となっていたNY金は、25ドルほど急落し、そこからさらに2003ドルと心理的節目の2000ドルに接近。その後は、2000ドルをやや上回る水準を維持し、横ばいで推移した。通常取引の終値は前日比25.80ドル安の2007.20ドルで終了した。1月17日以来約1カ月ぶりの安値となる。安値は2002.80ドルだった。
状況から考えて、2000ドル割れを試す動きに移行する可能性が出ている。2000ドル割れを待っている投資家もいると思う。
以前から“Last 1 mile(最後の1マイル)”という表現で語られてきたが、順調に低下してきた米国のインフレ指標だが、2%の目標に戻るのは容易ではなく、賃金との相関性が強いサービスインフレの鈍化には時間が掛かるとの指摘が見られていた。今回は家賃が想定以上に伸びるなどして高めの数値となった。 前年同月比の上昇率が3.1%と23年12月の3.4%から鈍化したものの、市場予想の2.9%を上回った。
1月は価格改定が多いことからデータの振れが生じやすいとされる。今回の住居費の伸び率加速は一過性か持続的か、複数月のデータを基に判断することになる。
この点は、 先週、リッチモンド連銀のバーキン総裁とボストン連銀のコリンズ総裁が、利下げのタイミングを測るためにはインフレ鈍化が継続するだけでなく、住宅や他のサービス分野にしっかりと広がることが望ましいとの考えを示唆していた。
ちなみにバーキン総裁は先週、「年末年始近辺の数字には大幅な季節調整が加わるため、私は常に慎重となる」とし、いかなる単月のデータも深読みしないという考えを示していた。同総裁は今年の連邦公開市場委員会(FOMC)で投票権を持っている。