注目のFOMC議事録については、利上げ開始について想定されている時期を前倒しするべきか否かについて活発な議論が行われていたことが明らかになった。ただし、これは予想されていたこと。元よりFRB内部でも意見が割れていることは知られており、このところのFOMCでは、全会一致で政策が決まったと伝えられても、実際にはかなりの論戦が繰り広げられていると思われた。
その中で、大勢的にどちらに傾いているかを市場(とりわけ金市場)は見極めようとしているわけだ。総じていうと、FOMCは予想以上のテンポで進んだ(失業率の低下など)労働市場の改善を評価しているものの、利上げの判断にはさらなる説得力のある材料が欲しいということのようだ。それらを確認するには、時間がかかるとの判断が大勢を占めているようだ。もちろん、“それでは遅い!!利上げを早めるべし!!”との意見は、複数存在する。
結局、FRBの目標とする水準に向けて回復が予想以上に進んだ場合は、「現在の想定よりも早期に金融政策緩和措置の解除に着手することが適切となる可能性がある」としている。これも、イエレン議長が、過去の記者会見や議会証言で言及してきたことではある。この言葉にしても、市場はこれまでより真剣な受け止め方をするのだろう。
現在日本時間の21日16時40分だが、足元でアジアの時間帯からロンドンに移行しているが、金市場は売り優勢の流れで下値を切り下げてきている。具体的にはこのところのレンジの下限1280ドル近辺での取引となっている。議事録の内容を受けて、市場では今週発表された米住宅指標の好転を、改めて売り材料としているように見える。本日からジャクソンホールでの金融シンポジウムが始まるが、明日22日に予定されているイエレン議長の講演は、直接的に政策変更の方向性に言及するものではない。これまでと同じような言い回しでも、警戒モードで神経が過敏になっている金市場には、よりタカ派的なトーンとして聞こえるのではなかろうか。
話は変わるが、今週に入り「SPDRゴールド・シェア」の残高が連日増えている。そういえば、6月末のジョン・ポールソンの持ち分に変化は見られなかった。だれも興味を示さなくなっているのが、興味深い。まぁ、そんなもんでしょ。しかし、冴えない時こそ、注目を!ということです。