昨日取り上げたミズーリでのトランプ大統領による税制改革についてのスピーチは、政権としての希望を口にしただけで、中身はなかった。敢えてこうした場を設定する意味がどこにあったのかという結果に。コーン国家経済会議(NEC)委員長が、事前にこのスピーチに注目してくれ、というニュアンスで語っていたようなのだが、結果は??となった。
大統領は、「理想としては税率を15%に引き下げたい」とすでに難しいと見られている従来からの公約を希望的に取り上げ、「議会に落胆させられたくない」、「議会は復活を遂げるだろう。そう願う。米国がそれを期待している」と、首尾よく進まないとすれば、それは議会のせいだといわんばかりの発言だった。
たしかに、一理あるのは税制や予算についてはホワイトハウスではなく、議会に立案・決定権があるので、まとめられなければ議会が悪い。しかし、その立案に至る過程で、ホワイトハウスは議会側と協議を重ね、公約にそった内容を練り上げるわけで、スピーチの印象は“丸投げ”という感じだ。もっとも、来週、議会指導部と話し合いの場があるようなので、続報ありということか。
早いものでアメリカも中間選挙まで後1年2ヵ月。議会は議会で、年内に税制改革も形にする必要あろうし、ホワイトハウスはなお更だが、公約の内容は大幅後退となりそうだ。
さて、本日は個人消費支出物価指数(PCEデフレーター)が注目材料。そもそもNY金が1300ドル超にしっかりと踏み込んだのは、ジャクソンホールの結果を咀嚼(そしゃく)してのものであって、北のミサイルを受けたものではない。したがって、今夜のPCEデフレーターと明日の雇用統計の時間当たり賃金の結果に反応しやすいといえる。