今週は言うまでもなく月初のイベント週で週末の米雇用統計を前に、シカゴPMI、コンファレンスボードの消費者信頼感指数、ADP全米民間雇用報告、ISM製造業景況指数、同じく非製造業景況指数に新規失業保険申請件数、さらに地区連銀経済報告(ベージュブック)とてんこ盛り状態となる。そこに連日に渡りFRB関係者が入れ替わり立ち代わり講演に立ったりシンポジウムに参加したりと、発言が続くスケジュールとなっている。本日はパウエル議長がイエレン財務長官とともに、上院銀行委員会にてコロナ危機対応策についての公聴会(議会証言)が開かれる。そこにすぽっとハマったのがオミクロン株ということになったのは、歴史の綾(あや)ということなんだろう。
今週発表されるもろもろの経済指標への注目度は低下はしないが、それらはいわば過去のもの。今後への影響という点で、にわかに浮上したオミクロン要因?は、今後を左右するだけに観連情報は市場を揺らすことになる。
本日アジア時間午後もFTがモデルナのCEOが既存のワクチンがそのままオミクロンに効くとは限らないというニュアンスの発言をしたという話が伝わり、日本株は下げ足を速めたようだ。そして欧州株も下げている。当然、米国株の先物もダウを筆頭に日本時間の20時過ぎだが、下げている。
米国株に関しては、もともと週明けの上昇は下げ止まりでも何でもなく、急落後の自律反発と見られたので、驚くこともない。それにしても、週明けのNY時間で伝えられたのは、バイデン大統領が「現時点でロックダウン(都市封鎖)は考えていない」と述べ、ワクチンが必要になれば「あらゆる手段を使って開発や供給を加速する」と対策に自信を示したという話だった。さらに、米製薬モデルナやジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)、独ビオンテックの3社は、現行のワクチンがオミクロン株に効かない場合に備えて、この変異株に特化したワクチンの開発に取り組んでいると発表。100日程度はかかりそうだが、何とかなるだろうという楽観論のもと市場は落ち着くはずだったが、そう簡単には行かないということに。
日本時間本日早朝の時点で、オミクロン株の感染が伝えられる国や地域の数が、初期段階でデルタ株のそれを大きく上回っているという話に加え、既に英国では大都市ロンドンや近郊でなく北部スコットランドのグラスゴーで渡航歴のない感染者が出ているとの話や、イスラエルでも同様の話があった。つまり国内感染が進んでいるということを意味する。しかもイスラエルはワクチン接種率の高さで知られていただけに、ブレイクスルー感染ということは、モデルナCEOの発言内容を裏付けるものかもしれない。
いずれにしても事態はオミクロンの感染力や感染の際の症状の重さや、既存のワクチンの効き目がどの程度なのかというデータが出るまでは、再び物流も人流も止まることになると見た方がいいのだろう。やはり、広範囲の想定外、見込み違いが生まれることになりそうだ。
まずは証言内容のテキストが事前に公開されているが、本日の議会証言でパウエル議長がどう現状認識を語り、見通しを語るか。事前公開のテキストにはない、議員との質疑応答がどうなるか興味深い。
NY金は1800ドル超えに復帰するのか否か。
本日は夕刻16時30分からラジオNIKKEIの生放送「マーケット・トレンドPLUS」にスタジオ出演だった。ラジオNIKKEI「マーケット・トレンドPLUS」で検索してもらえば、聞いてもらえます。