亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

NY金1800ドルトライ 相場付きが異なる今回の上昇

2020年06月24日 20時42分34秒 | 金市場
昨夜のNY金は結局4月14日の終値ベースでの戻り高値を上抜いた。後は同じ日の1788.80ドルだが、本日アジア時間の早い段階で抜けて1790ドル突破には少し抵抗が見られたが、これも上抜けた。こうなると、日本時間今夜のNY時間に1800ドルトライということになりそうだが、当然売りが控える。1800ドルを付けられては困るオプション絡みの関係者もいるだろう。このところ1700ドル台後半の水準は、2012年10月以来7年8カ月ぶりの高値だが、実は2012年はザラバ(取引時間中)でも1800ドルに到達したことは一度もない。仮に1800ドルを突破すると手元の記録では2011年11月以来となる。これが終値ベースとなると2011年9月以来となり、過去最高値を記録した時期に相当する。

この2カ月余り1700ドル台で揉み合う(レンジ相場)金価格の状況を、一定期間続くのは「好ましい状況」というふうに書いたし、それがリーマンショック後の最終局面で駆け上がった相場との違いともした。この20年間、エクセルにNYのデータを毎日打ち込んできたが、相場付きの違いを感じている。各方面で強気見通しを語ってきたのはそのため。

今回も1800ドルで跳ね返されて再び値固めモードになるなら、それもよし。ここで終わる相場ではない。

そういえば、昨日、アジア時間に流れたピーター・ナバロ米大統領補佐官の米中通商合意についての発言内容が市場をほんの一時だが揺らした。保守系のFOXニュースのインタビューで中国との通商合意について問われ、「合意を打ち切ることを決めたと語った」(ブルームバーグ)と伝えられたもの。その後、トランプ大統領が中国との通商合意はまったく無傷とし、中国が合意条件に従って行動することを願うとツィート。米国家経済会議(NEC)のカドロー委員長も、米中通商合意は無傷であるばかりか、数々の分野で建設的に前進していると発言。ナバロ大統領補佐官は、自身の発言は文脈を無視して報じられたもので米中通商合意は続いている、として修正ということに。これも、何だかなぁ・・・という展開だった。

米中両国は、先週中国側の申し出でハワイにてポンペオ国務長官と中国側の外交担当トップの楊共産党政治局員が会談した経緯がある。中国側は香港を巡る法制に対する米国側の反応を抑えたい意向があると見られるが、一方でトランプ政権側は秋の大統領選を控え、中国による米農産物の大量購入に期待を寄せている。この辺りはボルトン本からも読める筋書きで、両者の駆け引きの中で、対中強硬派で知られるナバロ補佐官の発言は誤解されたとはするものの、米政権内、また政権と議会共和党間の対中方針に温度差を感じさせることになった。

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