朝から上昇基調を続けていた日本株は、時間の経過とともにじわじわとショートが炙り出されるような展開で引け間際にさすがに売りが優勢となったものの大幅高で終了ということになった。日経平均は、昨年9月9日以来の1000円以上の上昇で1069円高の1万6022円で終了。7.5%の暴騰。正直言って印象が薄かったのだが、昨年9月9日の際は1343円高となっていた。そんな反発相場があったのかと・・・。
大幅反騰の理由がいろいろ指摘されているが、ドイツ銀の信用問題や産油国の減産に向けた動き、米国景気の行方など、どれも確たる背景は感じられず、すべて(悪く言えば)希望的観測に基づく材料ばかりで、結局、弱気に傾きすぎたセンチメントが反対側に振れただけで、先週あるいはその前と何が変わったわけではない。
この動きの中で先週高騰した金は値を消しており、アジアの時間帯から早くも20ドル幅の下げとなっていた。金については、2月8日のここに「モメンタム系のファンドが動きのよくなった金にシフトしたことで、回転が利いてきており、昨年10月の1191ドルを越えると、その先は昨年5月の1230ドル台だが、勢いが止まると急反落もありか」としたが、そうした流れに沿ったものと思う。
金融市場が悲観に傾きすぎた一方で金市場も過熱していたわけで、その巻き戻しが起きているということ。双方ともに、これで終わりというわけではなく、この揺り戻しの中で足元の“地合い” が見えてくると思う。例えば金であれば、反落状態からどこで下げ止まるかという値位置がポイントになりそうだ。
それにしてもこのボラの高さ(値動きの大きさ)が、まさに昨今の状況を表わす。ばら撒かれ市場に滞留しているマネーは、クリック一つで矛先を変えるので、急落急騰は珍しいことではなくなっている。世界的にセンチメント主導型の荒い展開だが、そもそもこうした環境を作ったのがFRBを筆頭にする中央銀行であり、いつも書くように、この値の荒さが中央銀行の政策遂行をさらに難しくしていると思う。
今日発表された日本の10-12月期GDPにしても、1月の中国の貿易統計にしても、日経平均が1000円以上上がったからといって、喜んでいられない内容と思う。