本日は、早朝から慌ただしい1日だった・・・・。夕刻は赤坂のラジオNikkeiのスタジオでタイミング良く生番組(「マーケット・トレンド」)。番組の中でギリシャ第2次支援と債務の軽減策は、これまでの建前論から現実に歩み寄ったという点で評価できるが、(ギリシャの)返済能力が高まらない中で結局は先送りの時間稼ぎ・・とした。
ところで今朝NHKBSのワールド・ウェーブで見た仏放送でサルコジ大統領が「これは、ギリシャだけよ」というニュアンスのことを語っていたが、そうは行くまい。こうした救済には緊急避難とはいえモラル・ハザードの危険性は付きまとう。辛い緊縮策はポルトガルもアイルランドも同じで国民の不満も溜まっている。例外を作ったことで、その例外は例外ではなくならないか?・・・・って、禅問答のようだが。「・・・・だったら、こっちもお願い」という可能性が出てくる。
先月末、ニューズレターに「もちろん、そうした事態をEUもECBも黙認はしない。仮に格付け会社が同国債をデフォルトと見なしても政治的配慮の下で何らかの救済策を講じ、危機の発生を防ぐことになるだろう。しかし、その段階で市場ではECBと通貨ユーロの存続に対し“疑い”の目が向けられることになりそうだ。すなわちルールを曲げる超法規的行動が結果的に信認の低下を招く可能性がある」とした。そのゲームのルールをさっそく変えることになったのが、「選択的デフォルトとなったとしても適格担保の扱いは変らない」という件。EUの保証を根拠にするらしい。
結局、今回の措置は、いわばギリシャの債務を「EU互助会(EFSF・・欧州金融安定化基金)」で引き受け、当座を何とか乗り切り、スペイン、イタリアへの波及を抑えようとする苦渋のオルタナティブ(二者択一)というふうに捉えている。「互助会」からの資金供給は、各国別の負担がイメージ的に拡散され都合もよろしかろう(スキーム上、関係ないか?)。ギリシャ国民が、この先厳しい節制に耐えられるかもポイントになりそうだ。この辺りは進捗状況が3ヵ月ごとにチェックされることになる(つまり3ヵ月ごとに問題は浮上する可能性がある)。いずれにしても目先の危機は回避されたが、金価格を大きく押し下げる要因にはならないと見られる。それにしてもECBは、スティルスさながら急に姿を隠した印象はぬぐえない。
ところで、残るは米連邦債務上限引き上げ交渉だが、オバマ政権サイドは今夜中にまとめたい意向のようだ。合意成立で金市場は織り込み済み。それでもまとまると敬意を表し多少下がるのだろうが、ここでも深押しはなかろう。むしろ合意を急ぐあまりに安易な妥協を図ると金は買われそうだ。