亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

切り上げた2600ドル台を維持、センチメント(先高感)の強さ

2024年09月17日 20時36分06秒 | 金市場

先週は10日の午後いちでオアンダ証券提供のYouTubeの収録。翌11日午後は、ゴールドを扱う業界団体の本年2回目の研修会の講師を2時間余り。

そして13日は、中四国九州地区で投資用金地金の精錬を行っている堤田貴金属(株)の恒例のゴールドセミナーで広島へ。

このセミナーは、新型コロナで2年開催を見送ったものの、今回で11回目で広島では秋のゴールドセミナーとして確立している。中国新聞にて告知しリーガロイヤルホテル広島が会場。毎回、ここで講演させてもらっているが、2時間制で、ここ3回ほどは1部を私が最近の市場動向と注目点を話し、2部はラジオNIKKEI番組で一緒してもらっている大橋ひろこさんとの掛け合いで、1部の間に当日会場で出してもらった質問に答えるという企画をやっている。

ちょうど、今回は開催日当日にNY金が2600ドルを付け、最高値を更新という日となった。来年も9月あるいは10月に同様の企画で開催の予定。同社堤田社長とは2010年に南アフリカの鉱山に一緒に入ったことで親交を深めセミナー開催に至り14年経過した。

 

さて、週明け9月16日のNY金は、小幅に反落となった。先週末にかけ2営業日続伸で初の2600ドル台に乗せ、取引時間中の高値とともに終値も2610.70ドルと過去最高値を更新していた。

先週は11日に発表された8月米消費者物価指数(CPI)コア指数が前月比で加速。今週開かれる米連邦公開市場委員会(FOMC)で通常の2倍となる0.5%利下げ観測は、見送られるとの見方が固まっていた。

ところが米連邦準備理事会(FRB)の政策方針の観測記事で定評のある、米紙ウォールストリートジャーナルのニック・ティミラウス記者が12日、FRBは0.5%の引き上げについて検討するが、0.25%と0.5%は際どい判断とする記事を執筆。市場では大幅利下げ観測が復活、上昇モメンタムが強まりそのまま13日のNY金は2600ドル台に乗せていた。

8月12日に終値で2500ドル台に乗せてから1カ月で大台替えの2600ドルに到達したことになる。ちなみに終値ベースでの最高値更新は年始以降34回目となる(FactSet調べ)。

 

世界の金融経済に影響を及ぼす特定の事件や事故あるいは金融危機などイベントを手掛かりとしない、ゆえに過熱感のないゴールドの最高値更新が続いている。

週明け16日の通常取引終値は先週末比1.8ドル安の2608.90ドルと反落した。ただし、一時2617.40ドルと取引時間中の最高値をさらに更新した。先週末の上昇モメンタムがなお残る中で、さすがに高値警戒感もあり売り買い交錯状態で、NY時間外のアジアから通常取引終了後を含め約10ドル幅のレンジ相場となった。興味深いのは、安値が2602.50ドルと先週末に切り上げた2600ドルの水準を取引時間中も維持したこと。先高感の強さの表れと言える。

 

なお、市場で0.5%利下げ観測が盛り返したことに債券市場が反応した。FRBの政策方針を映し出すことで知られる米2年債の利回りは、一時3.536%(FactSet)をつけた。2022年9月以来の低水準となる。逆イールド(長短金利差逆転)の解消が定着しており、10年債の利回り低下からは、債券市場は年内のFOMCでの連続利下げを織り込んでいる。

いずれにしてもFRBは利下げサイクルに入ることになる。

 

今回のFOMCでポイントになるのは、FOMCメンバー全員が示す経済見通しにある。ドット・プロットと呼ばれる予測値の中心値の分布図だが、とくに金利水準の見通しは今後の利下げサイクルの見通しを示すことから、NY金への影響は大きい。

 

本日は8月の米小売売上高の発表がある。個人消費の強さをみる手掛かりとなるが、遅行指標でもある。

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