金融政策の引き締めへの転換点として注目された今回のFOMC。声明文が発表されたのは現地時間14時だが、その直前でNY金市場は、前日比20.50ドル安の1909.20ドルで通常取引を終えていた。原油が連日の値下がりの中で、前日に続き長期金利をはじめ米債金利が軒並み上昇していたこともあり、4営業日続落ということに。
利上げが予想されるFOMC前に売られる金のお膳立てが完了。
そして時間外取引に入ったところで声明文とFOMCメンバー全員の経済見通し(ドットチャート)が発表され、パウエル議長の記者会見という流れに。声明文発表直後に数ドルほど値が跳ねた後に急落状態となり、一気に1900ドル割れの1895.20ドルまで水準を切り下げた。
このあたりはニュースのヘッドラインや発言内容に反応するロボットの動き。ただし、売りが一巡すると切り返しは早く、1910ドルを越えてそのまま短時間で1930.10ドルまで水準を切り上げ、時間外取引は1928.00ドルで終了となった。
想定以上にタカ派的な内容になれば、「1900ドル割れを試すのだろう。押し目買いということになるのだろうが、勧めているわけではない。判断は自身にて」と書いた。書いた内容より、実際のNY金の値動きが絶妙だった。瞬間タッチで1900ドルを割らせるところはなかなか。報道される16日の金価格終値は1909.20ドルだったが、時間外は上記のように1928.00ドルと、折に触れ書いたり話したりしてきたがFOMC後に上昇という形になった。16日は金ETFの最大銘柄「SPDR(スパイダー)ゴールドシェア」には、この日だけで8.7トンもの買いが入ったことが判明。
さぁ、どのような反騰になるのか否か。普通に表現すれば、いわゆる目先の悪材料通過という流れに。本日はアジア時間から1920ドル台で推移し、じわじわと1940ドル台に水準を切り上げ、NYのスタート台に立とうとしているところ。どこまで戻れるか。基本的にFRBの連続利上げは金の悪材料であるのは、承知の上の展開。
FOMCについては、報じられたように発表されたドットチャート中央値から、年内の利上げ見通しは、今回を含め7回と前回12月会合の3回から大幅に引き上がった。一応毎会合利上げを実施する見通しとなる。もちろん決まり事ではないので、そもそも11月の中間選挙前に引き上げるのかというと、見送る可能性もあろう。毎回のFOMCにて、その都度、判断し“俊敏に(nimble)”動くというのが基本線になっている。
雇用が強くてウクライナ危機の影響も出ていないうちに、引き上げ幅拡大ということもありそうだ。そもそも、保有資産(バランスシート)の縮小についても、今回の会合で話し合いが進んだとしており、「早ければ次の5月の会合で、縮小開始に移れるところまできている」と、早期着手を示唆した。この部分は議事要旨に注目してくれというようなことにも言及、やはり着手できるうちにということではないかと思う。年後半は、どんなことになっているか、わからないわけで、厳しい先行きも考えられ、どうなるか。
さて突然の告知ですが、明日の夜にオンラインのゴールド・セミナーをやることになりました。先週急遽持ち上がったもので、主催者側の告知が始まったのも一昨日の話。あまりに告知に時間がないのでこちらでも取り上げます。
約1時間バージョンで明日の19時スタート。ちなみにバナーは入門編となっていますが、入門編より難しいというか一般的な金融知識がある人向けです。
大橋ひろこ嬢、否、大橋ひろこ女史(笑)とともに。 興味のある方は、以下をクリック下さい。