亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

米CPI上振れ波乱に注意(JPモルガン・チェース)

2022年11月10日 20時04分05秒 | 金市場

報じられているように8日投開票の米中間選挙の最終的な結果は判明していない。下院は共和党が優勢だが、接戦州の多くで勝者が確定しておらず、政権政党の民主党の予想以上の善戦が伝えられている。広く予想されていた共和党圧勝を前提に前日まで買い進まれていた株式市場が急反落するなど、不安定化する中でドルが買われた。

また、この日は、資金繰り難に陥っているとされる暗号資産(仮想通貨)交換業大手FTXトレーディングの救済を巡る不透明感から、ビットコインなど仮想通貨(暗号資産)が幅広く急落するなど、リスクオフセンチメントが一気に高まったことも、ドル買いの手がかりとされた。

その中でNY金は通常取引利直前に売り込まれたが下値は1705.10ドルだった。売りが一巡すると買い先行の流れに転じそのまま1725.80ドルまで買われ、これが高値となった。後は前日の終値を挟んだレンジ取引でそのまま小安く終了ということに。本日もここまでのところ似たような展開だがレンジが1705~1715ドルに切り下がっている。本日の米10月の消費者物価指数(CPI)の発表を控え、警戒モードの中にある。

 

FTXトレーディングについては同業最大手のバイナンスが一度は救済買収に乗り出すとされたものの、この方針をあっさり撤回し、懸念が一気に高まった。いわゆる、ちゃぶ台返しの展開で、何かの時間稼ぎをやったのではないかと疑いたくなる。ブルームバーグが報じるところでは、FTXトレーディングは最大80億ドル(約1兆1000億円)の資金不足で、調達できない場合には破産法の申請も視野に入れているとされる。資金繰り難に陥った背景が不透明とされ、米財務省がSEC(証券取引委員会)およびCFTC(商品先物取引委員会)と連携し調査に乗り出したとの報道もある。デジタル・ゴールドだ、やれインフレヘッジに有効だ、と騒いでいるのを冷めた目で見てきたが、何のことはないカネ余りで踊っていたということで、FRBの利上げでバブルが崩壊している。修復にはかなりの時間を要するのだろう。

さて米中間選挙が市場の手掛かり材料としては、やや不発に終わったことで、関心は次のイベント、本日発表の米10月の消費者物価指数(CPI)に移っている。 総合指数については、9月の前年同月比8.2%伸びから7.9%や8.0%に鈍化が予想されている。ただし、前月比では3カ月連続で伸びが拡大するとの指摘もあり、仮に予想比上振れとなった際の市場混乱を警戒する声もある。

JPモルガン・チェースのトレーディングチームは、CPIが予想より高い伸びとなった場合、S&P500種平均は取引時間中に最大6%下落する可能性があるとしていた。もっとも、逆に前年比7.6%を下回った場合には5%上昇するとしており、警戒といっても必ずしも悲観的にとらえているわけでなない。ただし、そうは言うものの、トーンとしては上振れて下げ波乱に身構えているといえる。

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