亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

テーパリング禊(みそぎ)済みの金市場

2021年08月20日 22時28分22秒 | 金市場

注目の7月のFOMC議事要旨が発表されたが、思ったほどの反応はみられなかった。

反応したのは株式市場だった。議事要旨公開直後こそ買いが優勢となった米3主要株指数だが、その後、水準を切り下げながら進行し、ダウ、S&P500,ナスダックともに、そろって安値引けとなった。下げ幅も比較的大きかった。金市場と異なり、ここまでテーパリング論議の進展に無反応だったが、議事要旨公開が利益確定のきかっけになったということか。

NY金先物の通常取引終了後に発表された議事要旨だが、発表を受け時間外で金はプラス圏に浮上し、前日比1.90ドル高の1789.70ドルで電子取引を終了し株式市場とは明暗を分けた。議事要旨はどうなろうとも、既に先行して「テーパリング前倒し」を織り込み、ファンドの売り攻撃を受け跳ね返した後だけに、NY金に耐性はある。それでも1800ドル奪還がならなかったのは、ドルが強含んでいることによる。

議事要旨の内容については、報道に詳しいので割愛ということで、そちらを見てもらうとして、触れておきたいのは、FRBが条件にする労働市場について目に付いたものが一つ。ハト派メンバーは、7月の雇用増を受けてなお、新型コロナ前比570万人の職を失った人の存在を重要視する。その中で今回、「数人の参加者」が経済の永続的な変化を踏まえると、パンデミック前の労働市場の状況はもはや「正しい基準」ではない可能性があるとの見方を示したとされること。たしかにテレワークの普及などこの間の労働環境は以前とは異なる面がある。基準も徐々に変化してもおかしくはないということで、頭の隅に置いておこうと思った次第。

以上は昨夜書こうとした18日の状況だが、19日新型コロナ変異ウイルス「デルタ株」の感染拡大を巡る懸念で、景気見通しを下方修正する動きもみられ、ゴールドマン・サックスが18日夕刻に配布したレポートで、2021年7~9月期の米国の実質国内総生産(GDP)の伸び率を、従来の9%から5.5%に大幅下方修正した。感染拡大を理由に挙げている。YouTubeでもポッドキャストでも、4~6月期米国経済のピークアウトについて語ってきたが、どうなるか。自分はISM製造業や非製造の景況指数から判断し、そう唱えた経緯がある。

ところで、かねてより王道行くなら「金」を買うベシと語ってきたが、19日は自動車の排気ガス浄化装置の触媒需要で知られるプラチナとパラジウムの値下がりが目立った。

プラチナは前日比25.20ドル安の971.20ドルで終了。パラジウムは同じく125.40ドル安の2297.90ドルで取引を終了した。終値ベースでプラチナは昨年11月30日以来、パラジウムは今年の3月10日以来の安値水準となる。今週に入り中国景気指数の悪化や7月の米小売売上高での自動車販売の低下などを受け、弱含みに推移していたが、この日、トヨタ自動車が9月の世界生産を4割減少見通しと発表、ファンドの売りを誘ったものとみられる。発表によるとトヨタは90万台弱としていた計画を50万台強に引き下げるとされる。この水準は、欧米で新型コロナの影響が大きかった昨年5月以来の低水準とされる。

自動車会社の中で、サプライチェーンがもっともうまく機能していたのがトヨタとされるだけに、他社の状況に懸念が広がっている。実需動向よりも、こうした見通しに反応した投資の売りが貴金属2銘柄の値下がりにつながっている。

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