2月最終日28日のNY金は続伸で終了。前日比11.80ドル高の1836.70ドル。月次ベースでは108.60ドル、5.58%の下げとなった。
昨日取り上げたように、2月の米国関連指標は予想比上振れが相次ぎ、インフレが高止まりし、米連邦準備理事会(FRB)による利上げが長引くことを市場は織り込まざるを得なくなった。
こうなると、仮に多くが遅行性のある指標であったとしても、足元で発表されるデータ(起きている現象)の延長線上で予想を組み立てる傾向の強い市場では、過剰反応が起きがちとなる。 本日1日は、2月のISM(米サプライマネジメント協会)の製造業景況指数の発表が予定されており、市場予想は1月から上昇が見込まれている。このところ後退基調が続いている米製造業だが、底堅さを示せばFRBによる引き締め強化につながるとの警戒から、28日の米国株式市場は終盤に下げが加速した。
先週週足で1000ドルほど下げたダウ30種平均は、週明けの前日は72ドル高と小反発したものの、この日は232ドル安と改めて売り直された。
28日の金市場ではNY時間外のロンドンの時間帯に発表されたフランスとスペインの2月の消費者物価指数の上昇率が市場予想を上回ったことが注目された。欧州中央銀行(ECB)による3月の利上げ幅の見通し0.5%がフルに織り込まれるとともに、利上げの長期化が意識され、欧州国債利回りは上昇した(価格は下落)。ちなみにドイツ10年債は一時2.712%まで上昇し2.649%で終了。1月19日には2.064%だった。この欧州債の利回り上昇が米10年債にも(売りが)波及し一時3.976%と4%に接近したが、同じタイミングでドルも上昇し、NY金は1810.80ドルの安値を付けた。そしてこの価格が2月の安値となった。
2月は市場センチメントが、FRBの引き締め強化織り込みに大きく振れた割には、NY金は1800ドル割れにも至らず、堅調に推移したといえる。背景には地政学的要因と、広い意味でそれに関連した現物買いのサポートがあることによる。
NY時間にはコンファレンス・ボード(CB)が2月の米消費者信頼感指数を発表。102.9と、1月の106.0から上昇(108.5)予想に反して低下し昨年11月来の低水準となった。現況は改善し22年4月来で最高に達したものの期待が落ち込み、全体指数を押し下げた。高インフレにより家計の貯蓄は減少傾向で、クレジットカード依存度が増している。借金での消費が経済を支え始めている。金利が上がる中で、どこまで続くかを考える必要がある。
2月のNY金の下げは先物市場でのファンドの売りが主体ゆえに、今月は、たぶん踏まされるのだろう。「踏む」という言葉を知らない人も多いのだろうか。。