月曜日の日経CNBCの番組内でも話したが、今回の下げはコメックス主導(先物主導)の下げで、金融環境に変化が見られない中、市場の内部要因による自律的反落と見ている。その点で、年始1月の下げ方に似ている。ファンドのロングの手仕舞いにシルバーの暴落を見て相乗りしようと目論んだ新規のショートが乗って下げたもので、その思惑が外れたショートは早々に手仕舞い、いわゆる踏まされている状況が昨夜のNYでの上昇ということだろう。ただしこれもしばし1500ドルの攻防戦ということになりそうだ。
月曜日の放送後に日経のスタジオから羽田に向かい、その足で福岡に来た。昨日今日でGA(ゴールド・アドバーザー)の研修会。そこでは需給分析の話なども当然取り上げるのだが、4月に発表された貴金属調査で知られるGFMS(ゴールド・フィールズ・ミネラル・サービシズ)の発表データの中で注目点はいくつかある。公的売却が昨年は購入に変った・・・というのは既に1年以上前に指摘されていたことが現実化したもの。興味深いのは宝飾品需要が平均価格が前年比約250ドル、約26%上昇したにもかかわらず200トン増えたこと。その背景にインドでの需要の急増がある。通常インドは目立った価格上昇時には様子見に徹し、買いを見送るのが常だった。それが多少の上昇を苦にしない所得面での余裕が、金購入の拡大につながったのだろうか。恐らくそれもあろう。
インドでの宝飾品需要の増加は、多分に投資需要の増加に被る側面が強いのではないかと思っている。インドでは純金や22金という高品位の宝飾品が“重さ”で売買されている。なぜならば、それ自体が“投資”という認識が強いためだ。インドでの宝飾品需要の拡大は、これすなわち投資需要の拡大と理解して問題はないと見ている。形状がネックレスやリングなどの商品となっているので、カテゴリーとしては宝飾品需要としてカウントされるのだが、その実態は投資であって、インドにおける先高感の強さが投資対象としての宝飾品の売れ行きを押し上げたものと見られる。この話は、「スクラップ」と呼ばれるリサイクルされた金の売り戻し数量が、2010年には価格が26%も上昇したにもかかわらず前年比で減少したことにもつながる要素とみている。実際にインドでは金製品の換金売りは減っており、ヨーロッパでの拡大が目立ったのが2010年のスクラップの内容だった。つまりここでもインド国内での金の先高観の強さが、金製品の換金売りを抑えたものと見ている。インド、中東では結局、宝飾品のかなりの部分が流動化する投資需要の変形版として見る必要があるわけだ。需給分析の隠れたポイントでもある。
昨日、今日の福岡市内は豪雨。台風は南部を通過する見込みで大きな影響はなさそう。
その一方アメリカのミネソタではコイン投資の詐欺事件が横行しているようで。これは古銭のようなプレミアのついたものをだまして売りつけるもののようで。アメリカでもインフレに備えて金を買うのは高齢者が多いとか
世界各国で現物シフトが起きてますね しかしこの高値で買うんですか。。。
90年代のバブル時期に、田舎の高いマンションを買った人のように、今買わないともう手が届かなくなるという焦り故の行動なのか
それともまだまだ伸びるという確信を持っての行動なのか
今後折に触れ金利と金価格の関係も取り上げていただけると有難いです。失業率や賃金上昇率も関わって来るから金利だけで金価格を論ずるのは難しいかもしれませんが…