5日のNY市場のポイントは米国債相場が年限問わず続伸したことだった。つまり利回りは低下。
指標となる10年債は、この日発表の企業向け給与計算サービスADPの5月の米民間雇用者数が15万2000人増と、伸びが1月以降で最も低くなったことを受け、一時4.277%まで低下し4.280%で終了した。3月28日以来約2カ月ぶりの低水準となる。
10年債利回りはわずか5営業日で4.6%台から4.2%台に急落したが、この間に発表された米経済指標が総じて減速傾向を示したことで、9月を手始めに年内2回の利下げ見通しが復活したことによる。
金利先物の値動きから政策金利を読む「フェドウオッチ」によると年内2回の利下げ予想は5日夕刻時点で70%近くまで上昇。1週間前は約35%となっていた。
金利低下を好感し、この日の米主要株式指標は軒並み上昇し、S&P500種平均株価は5月21日以来の最高値更新となった。ナスダック総合も5月28日以来の最高値を付けた。
NY金は、さすがに教科書通り反発した。
前日は米長期金利連続低下の中で節目の2350割れに売り込まれていた。前日比28.10ドル高の2375.50ドルで終了。通常取引終了前に一時2377.60ドルまで買われ、これがこの日の高値となった。5月の(目立った背景のなかった)急騰劇の後にしては、値を保っている印象ではある。
このまま7日の雇用統計待ちになりそうな雲行きといえる。
なお、金の国際的広報調査機関ワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)公表したところでは、4月の世界の中銀による金の純購入量は33トンとなった。中国人民銀行は4月まで18カ月連続で金準備を増やしたが、購入ペースが大幅に減速しており、2トン未満にとどまっている。