発表された4月の求人件数が3年超ぶりの低水準となり、長らく過熱が伝えられてきた米労働市場の状況が緩和しつつあることを示した。
これを受け前日に急低下していた米長期金利がさら水準を切り下げたにも関わらず、ファンドの売り手じまいに押される形でNY金はマイナス圏での取引となった。前日比21.90ドル安の2347.40ドルで終了。
米長期金利の低下にドル円は反応し、一時154円台を付けたのでJPX金の下げは大きくなった。
NY時間に明らかになった求人件数の落ち込みを受けNY金は反発したものの、長くは続かなかった。この反発力の弱さがむしろ地合いの悪さを印象付けたのか、売りが加速した。5月20日までの急騰に際し買いついたファンドの整理売り過程でのテクニカル要因主導の下げといったところか。
発表された4月の米雇用動態調査(JOLTS)で、非農業部門の求人件数は29万6000件減の805万9000件と、2021年2月以来3年超ぶりの低水準となった。市場予想は836万人だった。前月分も下方修正され、4月の雇用統計が示唆した労働市場の緩やかな減速と整合する内容となった。ちなみに求人件数は22年3月に1200万件でピークを付けている。4月の失業者1人当たりの求人件数は1.24件と3月の1.3件から減少し、21年6月以来の最低水準となった。
労働市場の緩和は、賃金インフレの可能性低下を示すことからFRBが利下げしやすくなるとの見方につながる。
このところ一連の米国経済指標が経済の減速を示すものが増えているが、米地区連銀の一つアトランタ連銀が発表する代表的な経済指標を追跡しながらGDP(実質国内総生産)を予測する「GDP・Now」は、3日時点で4~6月期の成長を前期比年率1.8%としている。3日に発表されたISM製造業景況指数の低下を受け5月31日時点の2.7%から引き下げたもの。
5月中旬時点の予測値は3%台後半となっていたので、成長見通しは低下している。NY金は手掛かり材料待ちの日柄整理。