亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

目先の材料出尽くし(FOMC)をにらむ金市場 

2021年09月22日 17時43分50秒 | 金市場
中国恒大集団の経営危機を発端としたリスク警戒モードはやや和らいだものの、なお不透明要因は多い。世界的な金融市場の不安定な環境は続くとの見方から、前日に続き安全資産としての側面から金が買われた。一方でテーパリングを議論する連邦公開市場委員会(FOMC)の政策転換に対する警戒感から上値は重く、続伸となったものの21日は前日比14.40ドル高の1778.20ドルで取引を終了した。上値は1782.80ドルまでだった。本日のNY時間外の取引は、日本時間の夕刻17時時点までで高値は1780.80ドルまで見ているが、売りが先行する流れとなっている。

今回のFOMCは、8月分の雇用統計にて前月比就業者数の伸びが市場予想の半分以下の23万5000人にとどまるなど、下振れとなったことから、テーパリングの開始決定は見送るとみられる。ただし、同時に年内の開始を示唆し政策の方向性を明確にすることになる。

繰り返しになるが、今回は声明文に加えメンバー全員の経済予測の分布図(ドットチャート)が公開されるが、中でも政策金利に注目が集まる。

今回から24年分まで範囲が広がるが、ここまで複数の地区連銀総裁は、利上げ時期の前倒しに積極的スタンスを示している。したがって、議長の記者会見の発言トーンとドットチャートが示す内容がカイ離する可能性も考えられる。現在6名で構成されるFRB理事間でも見解に相違が見られており、個人的には前回7月の会合以降にパウエル議長が内部意見の集約が出来ているのか否かにも注目しようと思っている。

一部で9月の中旬くらいまでには、ホワイトハウス(バイデン大統領)は、来年2月で任期が切れるパウエル議長の再任を含む後任人事について発表するとの見方があったが、ここまで発表はされていない。決定にあたって、今回の会合についても判断材料にする意向と考えることもできよう。仮に今回、テーパリング決定は見送りとなったとして、反対票が出るのか否か。出るとするなら何票か。興味深い。果たしてどうなるか。

そうした政治的要素もからむFOMCだが、金市場の方は、そうした派生的な要因は中長期の材料であって、どうしても目先の動きを追うことを主眼にした、利上げ時期などに反応するロボット(アルゴリズム)に左右されそうだ。その際は下落圧力に対する耐性を試されることになる。その一方でなお、目先の材料出尽くし的な動きになることも考えられなくもない。


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