亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

株も為替も金市場も、方向感が出難く、日替わりメニューで右往左往

2017年01月25日 20時40分50秒 | トピック

前政権の残した“オバマ大統領令”を“トランプ大統領令”が覆すということが進んでいる。

報じられているように、トランプ政権が矢継ぎ早に「大統領令」を発している。流れの変化を印象付けるという意味合いが強く感じられる展開で、おそらく政権移行チームが本人の意向と選挙戦中の公約とを照らし合わせ準備してきたのだろう。

「大統領令」は、連邦政府や軍に対して出す行政命令で、議会の承認を得なくても即座に法的拘束力を持つもの。ただし議会がその効力を禁じる法律を制定するか連邦最高裁が違憲判断を下せば効力を失う。

ここでも“過去最低の支持率”が影を落としているように思われる。流れの変化を印象付けるには、オバマ前政権の象徴的な政策を覆すのが手っ取り早い。TPP(環太平洋経済連携協定)を葬り去ったのが、トップ。

過去最低の支持率の下でのスタートということもあり、流れの変化を印象付ける象徴的な意味合いもあり、オバマ前政権の政策を覆すものが中心となっている。大統領とはいえ命令ひとつで既存の法律を覆すことは出来ないので、オバマケアを廃案にすることは出来ないが、“見直しなさい” という命令は下せる。そこで、そのようにしたというわけだ。この法案に反対であることを世に強く印象づけたのは確かだ。

24日に市場、特に株式市場が反応したのは、環境保護からオバマ前大統領が差し止めていた、カナダからメキシコ湾岸に原油を運ぶキーストーンXLのパイプライン建設の再申請を企業に促すというもの。また米中西部を通る「ダコタ・アクセス・パイプライン」について承認の手続きを進めるように省庁に指示するもの。パイプラインの材料に米国製の鋼材を使うという指示も盛り込んだとされる。重要と認めるインフラ整備計画には、環境影響評価の基準を緩める方向性を指示したようだ。実際には、環境評価の“効率化を求める”という文言のようだが。基準を緩めなさいということだろう。地球温暖化が進んでいるというのは科学者のでっち上げ、というようなニュアンスの発言も選挙戦中にあったと記憶している。二酸化炭素削減に向けた動きも、米国の成長を素材するなら、無視するというのが方針。

このパイプライン、建設により「2万8000人の雇用を生む」(トランプ大統領)としているが、失業率4.7%で「完全雇用」が指摘される中で、こうした時限的な雇用を増やすことにどれほどの意味合いがあるのだろう。

TPPと同じ初日のだされた大統領令で、「住宅ローンの手数料軽減策の停止」というのもあったようだ。オバマ政権の導入したもので、一次取得者つまり初めて家を買う若者や低所得者への恩恵が大きかったことは、全米不動産協会(NAR)も認めているようだ。

“忘れ去られていた人々”の救いは、減税に集約されるのか。ならば、忘れられていない人々と同じではある。

外交、通商方針が今後示されてくると思われるが、影響の度合いということでは、こっちはメガトン級・・・・って、表現が古いか。NYダウの2万ドル大台乗せは、センチメントを鼓舞するのだろう。

株式も為替も金市場も、方向感が出難く、日替わりメニューという感じだ。

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