昨日は想定外の下げに見舞われ1900ドル割れに至った金だけに、アジアなどでは安値を待っていた宝飾や地金など現物買いの需要が高まるのではと書いたが、そうした動きは出ているようだ。
新型コロナ禍以降の経済混乱の中で、自国通貨がドル高の中で売られたうえでのインフレは、新興国では金への関心を高めさせた。同じ状況でありながら日本ではその傾向が弱いのは、意識や気付きのレベルの違いかもしれない。
もうひとつファンドの中には、いったんモメンタムが失われたことで、戻り売りに転じるところも出るだろうとも書いた。6日の値動きをみると自律反発狙いでNY時間外のアジアやロンドン時間に1790ドル台半ばまで買われたものの、NYで跳ね返されたのはそうした動きと思う。
この点で先週前半時点でのファンドのポジション(建玉)の状態を見たいところだが、通常は週末金融日に発表される米商品先物取引委員会(CFTC)のデータ発表が遅れ、週明け6日も未発表だった。CFTCはデータ収集経路の問題としている。
米雇用統計では非農業部門就業者(NFP)増加数が51万7000人と、市場予想の3倍近くに上振れし、市場は「NFPショック」に見舞われたが、今週は激変ともいえる数値情報をどう消化するかが注目される。
この観点から本日7日のパウエルFRB議長の講演が予定されており、1月NFPの結果を受け、どう変化するか注目したい。特に1日の連邦公開市場委員会(FOMC)後のパウエル議長の発言がハト派的と取られただけに、NFP上振れをどのように解釈していると発言するか。
この点で6日は、アトランタ連銀のボスティック総裁のブルームバーグ・ニュースとの電話インタビューの内容が伝えらた。経済が予想より強い状況が続けば、「もう少しやるべき仕事があることを意味するだろう」とし、「それは私の今の予測よりも大きく利上げすることにつながると予想する」と語っている。
また、1月の雇用統計が「特異な数値」だったのかどうか当局は理解する必要があり、自身も「これについて少し調べたい」としていた。こうした思いは市場関係者にも共通するもの。