亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

最高値接近、ホバリング状態のNY金

2024年02月02日 19時44分34秒 | 金市場

2月1日のNY金は4営業日続伸となった。NYコメックスの通常取引は前日比3.70ドル高の2071.10ドルで終了。朝方発表された米雇用指標が労働需給の緩和を示し、物価上昇が一段と沈静化するとの見方から米国債に買いが入り、利回りは前日に続き大きく低下。金市場は買い優勢に転じ水準を切り上げながら相場は進行した。前日の高値水準を超え昼過ぎには一時2083.20ドルまで付け、これが1日の高値となった。終盤には利益確定とみられる売りも出て上げ幅を削ったものの、プラス圏を維持して終了した。

 

朝方発表された1月27日終了週の新規の失業保険申請件数は、前週比9000件増の22万4000件となり、2週連続の悪化で23年11月中旬以来の高水準となった。市場予想は21万2000件だった。

同じ時間に発表された昨年10~12月期の米労働生産性指数(速報値)は前期比年率+3.2%と市場予想以上に上昇し、企業の賃金負担などを示す単位労働コストの伸びは市場予想を下回った。賃金面からのインフレ圧力が徐々に後退していること示唆する内容と言えるもの。

この結果を受け長期金利の指標となる10年債利回りは、一時3.813%と約1カ月ぶりの水準まで低下し、3.878%で終了した。前日に米地銀ニューヨーク・コミュニティ・バンコープ(NYCB)が商業用不動産向け融資の焦げ付きに備えて多額の引当金を計上し、減配を発表したことで株価が大きく下落。この日もその余波が続き地銀の業績悪化懸念が広がる可能性が懸念されたことも、安全資産としての米国債買いにつながり利回りを低下させた。

米金利の低下はドル売りに反映され、対ユーロを中心にドルは売られ、ドル指数(DXY)は103.048と終値ベースで年初来安値を更新。

前日に、パウエルFRB議長が3月利下げの可能性は低いとの見解を示したことで、いったんは2050ドル割れまで売り戻されたNY金だが、発言前の水準に戻ったことになる。

 

結局、今回の連邦公開市場委員会(FOMC)でFRBは、名実ともに利上げサイクルの終了を宣言したことになり、今後の政策は利下げバイアスがかかる環境に移行したことになる。発表されるデータによっては、次回以降どのFOMCでも利下げがあっても不思議はないと言える。実際にインフレが沈静化する中で、すでに金利水準は引き締め過ぎの領域に達していることは、FRB中枢部も認めている。

大きな流れとしては、1日の債券市場も環境の変化を織り込みにかかっていると言え、金市場もそれを表している。

 

たまたま今週はNYコメックスにて中心となる取引が2月物から4月物に移行するという限月交代があった関係で、4月物は2カ月分の金利を反映し19ドルほどプレミアムが乗った価格で取引されている。データ上はそのまま継続されることから、2月1日のNY金の終値2071.10ドルは昨年12月27日の終値ベースでの過去最高値2093.10ドルまで20ドルほどに接近した位置にある。

 

本日発表予定の1月米雇用統計の結果がどうなるか。NY金は2070ドル前後でのホバリング状態にある。

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