亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

ドル安加速でNY金1カ月ぶり高値

2023年07月13日 21時09分03秒 | 金市場

7月12日のNY金は続伸で節目の1950ドルを超え約1カ月ぶりの高値1961.70ドルで終了した。前日比24.60ドル高となった。

注目の6月の米消費者物価指数(CPI)の伸びが、市場予想を下回ったことから、米連邦準備理事会(FRB)の利上げ局面の終わりが近いとの見方が強まり、米長期金利が低下。先週末の米雇用統計の発表以降から始まっていたドル買いポジションの巻き戻し(解消)からくるドル安も、CPI発表後に加速し、金市場では買い優勢の流れが終盤に向け続いた。

 

発表された6月のCPIは前年同月比の上昇率が3.0%と、5月(4.0%)から鈍化し、2021年3月以来の低い伸びとなった。市場予想の3.1%(ロイター)も下回った。変動の激しいエネルギーと食品を除くコア指数(コアCPI)も4.8%前月の5.3%から鈍化し、21年10月以来の小幅な伸びにとどまった。市場予想は5.0%だった。コアCPIは前月比でも0.2%上昇と、21年8月以来の低い伸びとなった。また、前月比での伸びが0.4%を下回ったのは過去6カ月で初めてとなる。住居費が0.4%上昇し、コアCPIを押し上げた。

物価上昇圧力の和らぎを確認し、利上げ局面の終わりが近いことを期待する市場は、7月25~26日の連邦公開市場委員会(FOMC)では0.25%の利上げをほぼ確実視しているが、9月会合での追加利上げ観測はCPIの結果を受けて後退した。特にFRBが注視している住宅とエネルギーを除いたサービス業CPIは前年同月比4%上昇でやはり2021年来の低い伸びとなったことから、利上げサイクル終了観測が強まった。

 

これを受け10年債利回りは一時3.840%まで低下し、3.862%で終了した。金融政策の方向に敏感な2年債の利回りは4.721%まで低下し4.750%で終了。先週6日には全米民間雇用データの大幅上振れに対し警戒感を強め一時5.145%と2007年6月以来16年1カ月ぶりの水準まで上昇していた。 その際にここで、ファンドのロボットトレード(アルゴリズム)が(債券値下がりに反応した)ストップロスに過剰反応したもので、目先のピークを付けた可能性があるとしたが、CPIを受け急速に沈静化したことから、その見方は正しかったようだ。

米債金利の急低下もあり週明けから続いていたドル安も加速した。ユーロドルは一時3月以来の高値となる1.1134ドルを付けた。ドル円相場は、一時は138.17円と5月下旬以来の円高水準を付けた。これを受けドル指数(DXY)は一時100.444と2022年4月以来の安値を付け、100.521で終了した。

ドルの下落トレンドが再開したと思われる。 またCPIが下振れしたことを受け、これまでの利上げの累積効果の表面化との解釈もできるが、今後のデータでそれを検証することになる。

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