さて、発表された6月の米生産者物価指数(PPI)は市場予想を下回り、米連邦準備理事会(FRB)の利上げが長期化するとの見方が一段と和らぎ、米長期金利が急低下(一時3.756%)。週明け以降ドル売りが目立つ為替市場では、主要通貨に対しドル全面安状態となり金が買われやすい環境が生まれた。
NYコメックスの通常取引は前日比2.10ドル高の1963.80ドルで終了。
前日に続き1カ月ぶりの高値水準を維持した。
6月のPPIは前月比の伸びが0.1%と市場予想(0.2%)を下回った。
前年同月比でも0.1%上昇で、2020年8月以来約3年ぶりの低い伸びにとどまった。 前日12日発表の6月の米消費者物価指数(CPI)の上昇率も約2年ぶりの小幅な伸びで市場予想を下回っており、インフレ高止まりやFRBの利上げ継続への警戒が一段と和らぎ、7月を最後に利上げを止めるとの見方が強まった。
PPIの項目では金融や医療サービス、航空運賃が、FRBが物価基調の判断に活用する個人消費支出(PCE)価格指数(デフレーター)の算出に組み入れられている。したがって、この日の結果を受けて7月28日に発表される6月のPCEデフレーターも前月比および前年同月比で伸びが低下する可能性がありそうだ。
PPI発表後の市場では主要通貨に対しドル売りが幅広く進んだ。
ユーロは対ドルで6日続伸で一時1.1230ドルと1年4カ月ぶりの高値を付け、ドルは対スイス・フランでも8年ぶりの安値を付けた。対円では5月中旬以来、およそ1カ月半ぶりの137円台まで下落した。
これを受けドル指数(DXY)は急落状態となった。4月14日に付けた取引時間中の年初来安値100.788を下回ると下げが加速し、節目の100ポイント割れとなり一時2022年4月以来の安値となる99.741まで付け、99.770で終了した
。この間にNY金はおおむね1960ドル台半ばで推移しており、高値は1968.50ドルまで見たものの、DXYが急落した割には上値が重かった印象は否めない。
なお、この日セントルイス地区連銀が声明を発表し、同行のブラード総裁が13日付で辞任した。在任は15年に及び昨年来インフレ抑制を目指す積極的な利上げを主張してきたタカ派で知られてきた。8月14日まではセントルイス連銀に顧問として残るが、連邦公開市場委員会(FOMC)での金融政策を巡る役割やその他の関連職務からは身を引き、講演などもすべて中止したとセントルイス連銀は説明している。7月のFOMCは18名の参加者で開かれることになる。
今年同総裁は投票権を有していない。突然の辞任の背景は不明。