週明け8月21日のNY金は続伸。米長期金利が連日上昇する中で金は9営業日続落となるなど8月に入って以降、前週末までに4.6%水準を切り下げていただけに安値拾いの買いが入った。
主な経済指標の発表のない中で週明けも米長期金利の上昇が続き、指標となる米10年債利回りは一時4.355%と2007年11月以来15年9か月ぶりの高水準を付け、4.336%で終了。逆の表現をするなら、価格は約16年ぶりの安値に沈んだことになる。 金は反落が予想されたが、意外と踏ん張り逆風の中で続伸となった。ドルが対ユーロで弱含みに推移しドル指数(DXY)が前週比マイナス圏で推移したのが、強いて言えばサポート要因か。NYコメックスの通常取引は前週末比6.50ドル高の1923.00ドルで終了した。
通常取引に入って以降水準を切り上げ一時1927.90ドルまで買われたが、その後長期金利の上昇の中で値を消し昼前には、マイナス圏に。そこから終盤に向け買い戻され1920ドル台復帰。そのまま取引を終了した。
米国債は米財務省が増発計画を発表していることもあり、長期債を中心に売りが進んでおり、 21日は30年債も一時4.479%と12年ぶりの水準を付けた。一般的には足元の米経済が想定以上に底堅く、米連邦準備理事会(FRB)の金融引き締めが長期化するとの見方が売りの背景とされるが、実際には背景は複合的といえる。
ここにきて目立つ長期金利の上昇だが、金利がより高い口座に預金者が資金を移すことで、銀行の資金調達コストが押し上げられ収益を圧迫することが指摘されている。一方で銀行が保有する国債など有価証券は価値が目減り(値下がり)しており、その中での預金減少は多くの銀行の資金繰りを圧迫している。発表される経済指標が堅調さを印象付けるが、それを支える金融はひっ迫気味といえ、要注意ということだろう。
いまや市場の視点はFRBが「どこまで利上げする」から、(引き上げた22年ぶりの高金利を)「どこまで長く維持する」かに移りつつある。
昨年来の歴史的利上げが景気に影響がないとは考えにくく、やはり今後時を経て影響が表れると判断するのが妥当と思われる。 足元の政策金利の水準がすでに過大な水準に至っているのか否かを見極める基準はなく、FRBも判断に迷っている。要は、よくわからない。それが「今後のFOMCはすべてライブ」というデータ次第の政策決定方針に姿を変えている。
このように書くと、FRBの金融政策に関心を持って勉強している人でないと意味不明ということか・・・・。
今週25日のジャクソンホールでのパウエル議長の発言について市場はタカ派的な内容を想定しているが、仮にそうならば足元の長期金利の上昇(価格の急落)をさらに煽りかねないことから、トーンダウンする可能性がありそうだ。