10月2日のNY金は、反落した。NYコメックスの通常取引は前日比20.50ドル安の2669.70ドルで終了。
中東情勢緊迫化への懸念から安全資産への逃避で前日は一時2700ドルに接近したものの、その後の状況を慎重に見極めたいということで、やはり利益確定売りが先行した。
軍事的衝突など地政学リスクは数値化が難しく、ファンドの運用プログラム(アルゴリズム)には不得意分野とも言える。株式はじめ重要資産への影響が大きくなければ、初動での反応は元に戻るのが経験則の教えるところといえる。
4月にイランがイスラエル本土を直接攻撃した際は、双方ともにそれ以上戦闘行為を広げる意思は薄く、沈静化した経緯から、足元の反応は現時点では加速していない。
一方、イスラエルのネタニヤフ首相は、レバノンへの地上侵攻で同国軍に死者が出たことから、増援部隊を派遣すると発表。対してヒズボラ側は、イスラエル領内へのロケット弾発射を繰り返しており、イスラエル軍側にも相応のダメージが出ているとされる。市場が懸念しているのは、事態がエスカレートしイスラエル側がイランが持つ石油資産を標的にすることとされる。
当然ながら国際社会も戦争の拡大を防ぐべく、欧州主要国も動き始めているが、そうした動きを無視するかのようなネタニヤフ首相の独断専行的な動きが続いている。
この間に発表された米国経済指標は総じて堅調さを示すものが増えている。その重なりが、11月連邦公開市場委員会(FOMC)での大幅利下げ観測の後退につながり、NY金の上値を抑えている。
2日は給与計算など雇用サービスADPが発表した9月の全米雇用報告では民間雇用者数が予想以上に増加した。前月比で14万3000人増加と市場予想の12万人増を上回ることに。8月分は上方修正された。雇用者数は8月までは5カ月連続で伸びが鈍化していた。建設、レジャー、ホスピタリティー業界の雇用増加が寄与したとしている。
4日(金)には労働省による9月の雇用統計が発表される。ADPのデータは、雇用統計とは整合性に欠ける面があり参考指標という位置づけとなる。雇用統計では2カ月連続で緩やかな雇用者増が予想されている。失業率は4.2%で変わらないと見込まれている。