10月3日のNY金は反発した。前日比9.50ドル高の2679.20ドルで終了した。中東情勢の混迷化を受けリスク回避の逃避買いを集める一方で、足元で発表される米経済指標に堅調地合いを示唆するものが多く、11月連邦公開市場委員会(FOMC)での大幅利下げ観測は後退し、高値では売りが控える綱引き状態となっている。
3日は、こうした状況を受け米10年債利回りは3.8%台半ばに上昇。ドルも主要通貨に対し6週間ぶりの高値に上昇する中で、NY金は反発したものの上値の重い展開となった。
現状は2690ドル手前にややまとまった売りが控えるが、さりとて9月1カ月で131.80ドル、5.2%もの大幅上昇となった割に下値は堅く、史上最高値圏での滞留となっている。
したがって、何か買い手掛かりになるものが浮上すると高値更新につながる可能性は高そうだ。
中東情勢はイスラエル本土へのミサイル攻撃を実行したイランに対し、イスラエル側の報復攻撃がどの程度になるかという点で、警戒感が高まっている。イスラエルは、レバノンへの地上侵攻を続ける一方で首都ベイルートを空爆し、イスラム教シーア派武装組織ヒズボラの掃討作戦を一段と進めている。
市場の注目点は、イスラエルの報復攻撃にイランの石油施設が含まれるか否かに集約されている。
3日はバイデン米大統領がイラン石油施設への攻撃を米国は支持するかと記者団に問われ、「それをわれわれは協議中だ」と述べたと伝わった。
原油市場は敏感に反応し、米原油WTIは一時73.99ドルと9月上旬以来、約1カ月ぶりの高値を付け、高値を維持し前日比3.61ドル、5.1%の大幅高の73.71ドルで終了。4日NY時間外のNY早朝の時間帯でも74ドル台と切り上げた水準を維持している。原油市場は有事モードに入っている。
金市場の方はそう単純な価格展開とはならず、やはり米利下げ政策の行方が先行きの手掛かりゆえに現段階での中東情勢への反応も限定的なものになっている。
3日は米ISM(サプライマネジメント協会)が9月の非製造業(サービス業)景況指数を発表。前月の51.5から上昇し54.9と2023年2月以来の高水準となった。50が拡大と縮小の境目となるが、米経済が7~9月期も堅調に推移したことが裏付けられた。一方で、足元の労働市場の状況を映すとされる週次の新規失業保険申請件数は前週比6000件増の22万5000件と市場予想の22万件を上回った。
4日のNY早朝の段階で、こちらは2680ドル前後に滞留中で、今夜の9月米雇用統計待ち。
その雇用統計だが、失業率が4.2%で横ばい、非農業部門雇用者数(NFP)は前月比15万人増が見込まれている。
今週末はむしろイスラエルの動きに警戒を高めている。