亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

8月米雇用統計 結局判断に悩む数字が提示され

2013年09月06日 23時57分18秒 | 金市場

昨日は、雇用統計前の前哨戦という位置付けでADPの民間雇用や週間ベースの新規失業保険申請件数などの発表、さらにISM非製造業景況指数を見ると書いた。結局、ADPは前回20万近くとかなりいい数字が出ていたので期待はされていたが、結局は18万4000人増の市場予想を下回る17万6000人の増加で中立要因の結果に終わった。ただし、失業保険新規申請件数が32万件台に落ちたこと、ISM非製造業指数が予想外に良かったことを受けて、金市場では俄かに売りが湧き出るような感じでデータ発表後に30ドル超の下げを見ることになった。その後は、戻りも鈍かった。もちろんTapering(資産買い取りの縮小)を意識させたことによる。発表された結果から本日の雇用統計を強気に上昇修正する動きも見られたほどで、この流れの中で金は売られたわけだ。

ISM非製造業景況指数の総合指数(全体の指数)のこの2ヵ月の上昇幅が5.8ポイントになったのだが、これは1997年にこの統計が開始されて以来の最高の伸びとなったこと。足元の回復の加速を思わせる結果と言えたからだ。また、総合指数を離れ、各論部分の雇用指数が前月比4ポイントの上昇となっていたことも、本日の雇用統計の強気予想につながったようだ。

そこで本日の発表だが、失業率は市場予想7.4%と変わらずのところ7.3%に0.1ポイント改善。(非農業部門の)雇用者数は16万9000人の増加となった。市場予想は17万5000人から18万人の増加となっていたので、下回ったことになる。それよりも6、7月の数字に修正があったこと。7月は当初の16万2000人から10万4000人に、6月は18万8000人から17万2000人のいずれも増加に下方修正された。

過去1年間の月間ベースの雇用者数の増加が18万4000人となっているので16万9000人増は見劣りするのは否めない。また7月の下方修正の大きさも印象が悪い。さらに7.3%に下がった失業率だが、労働参加率が1978年夏以来の低さとなっており、結局職探しを諦めた人々が増えた結果、統計からそれらの人々が落ち改善につながったとなると割り引く必要がある。つまり、全体的にこの結果で、来るFOMにて高々と縮小を宣言して長~~~い“出口”の第一歩が始まるのかというとはなはだ心もとないということ。

結局、発表前は1360ドル方向に売られていた金だったが、発表直後は瞬間的に上下に振れた後に30ドルほど急伸。その後はさすがに売りに押し戻され、1380ドル台後半で推移中となっている。

本日は、夕刻に「ラジオNikkei」マーケット・トレンドだったが、雇用統計発表4時間前に話した内容は、以下をクリックしてもらうと聞けます。


http://www.radionikkei.jp/podcasting/trend/2013/09/player-20130906.html



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