先週末の期待外れの結果に終わった米4-6月期GDP。2.6%の市場予想に対し1.2%はサプライズといえるもの。1-3月期は低めに出て、その比較で高めの数字が出るのがこのところのパターンだった。しかし、その1-3月期が下方修正されて0.8%成長と低空飛行になっており、その前期との比較でも1.2%ということでは、減速のイメージは強い。しかし、週明け1日のダドリーNY連銀総裁やダラス連銀のカプラン総裁は、利上げに前向きの発言をしていた。その1日に発表された(全米を網羅する)ISM製造業景況指数は、好悪の分岐点となる50を5ヵ月連続で上回ったものの、前月の53.2から低下する52.6で市場予想の53.0も下回った。
GDPでも企業が守りに入り在庫を取り崩していることが明らかになったが、ISMでも年始までのドル高や原油安などの影響をいまだ引きずっていることが明らかになった。もっとも、GDPでは個人消費が4.2%も増え、2014年10-12月期以来の大幅な伸びとなったことを評価する声も多い。しかし、次もこの伸びが続くかというと、難しいとみられる。ここにきてのFRB関係者の強気発言は、市場の捉え方とは温度差があり、違和感は否めない。
今週は4日に英中銀イングランド銀行が、利下げに踏み切るとみられており、金も静かな展開ながら先週末に上回った1350ドルを維持するばかりか、1360ドル台にも歩みを進めている。NY先物の取組も直近ピークの7月11日からは9万枚(1枚=100オンス)以上減っており、買い余力が生まれている。先週末そして週明けと2日連続で金ETFの最大銘柄「SPDR(スパイダー)ゴールド・シェア(GLD)」の残高も増えた。GLDに関しては、7月初めに1日で大きく増加し、その翌週には1日で大きく売られと、出入りが激しくなっていた。
ISM製造業に関しても悪いわけではないが総じて力強さのないもので、期待外れに終わった4-6月期GDP成長率と合わせ、景気に過熱感の見られないのは事実ではある。この中でFRBによる利上げ再開も難しいとみられ、金市場にはサポート要因となっている。プラチナも昨年5月以来の高値に入って来たが、南アのストというよりパラジウムなどとともに、中国経済が年始よりやや落ち着いてきていることを表している可能性がある。まだ何が飛び出すか警戒は必要と思うが。
それにしても金については7月6日の1377.50ドルに静かに接近中。抜けるか目先の2番天井となるか。過去1ヵ月以上にわたり米国の強気の指標が増えたが、その延長線上で捉えてみていたGDPの結果は、流れを変えることになった。