報道に詳しいが、注目のFOMC(連邦公開市場委員会)が終了した。3月下旬に掛けて欧米メディアがFOMCで投票権を持つタカ派の地区連銀総裁の発言を盛んに取り上げていたので、緩和策の継続は決めるであろうが反対票を投じる人物が登場するのだろう・・・程度に思っていたが、結果は全会一致ということだった。それが、サプライズといえばサプライズ・・・か。結局、市場参加者が警戒していた(多少なりとも)引き締め方向への見通しは語られず、ここまでの超緩和的な政策を当分続けるというものだった。総額6000億ドルの国債の買取りは、予定通りこの6月末で終了することは確認した。ポイントは、終了後も買い取った国債は維持する、すなわち(買い取りの結果)放出した資金は、そのまま放置するという点にある。つまり“カネ余りは続く”ということ。この決定なら金も株も反応せずにはおられない・・・ということになった。
具体的には膨らんだバランスシートの規模は維持するということだが、MBS(住宅ローン担保証券)の償還分さらに国債の償還分でも、そのまま国債に乗り換え続けるとした。ということは、それを「やらなくなる」=「引き締めへのシグナル」ということになろうか。
初の記者会見は、報道を見る限りおおむね成功に終わったようだ。声明文から「Extended period」の文言が削除される、すなわち出口戦略については、「この後数回のFOMC」を経た後の判断との見方を示したことも市場に安心感をもたらした。その記者会見では、本日発表の2011年1-3月期のGDPにも触れ「GDPは2%を下回るとみている。(中略)、一時的な低成長とみている」としていた。そのGDPが日本時間の今夜発表されたが、やはり減速していた。予想2.0%のところ1.8%だった。この減速は、FRBでは想定済みということになる。
ただし、「住宅や非住宅の建設支出が1~3月期は非常に弱く今後も続く可能性がある」としていたので、住宅分野については時間が掛るとの判断。
今夜のデータといえば、週間ベースの失業保険申請件数も42.9万件と市場予想を上回ったばかりでなく、3週連続で40万件を超える結果となった。やはり年始から減速傾向が目立ち始めている表れか。
いずれにしてもカネ余り(過剰流動)が当面保証されたわけで、金価格は調整を挟みながらも堅調に推移することになる。
それにしても反対投票なし、というのはバーナンキとは政治的手腕にたけた議長ということか。