亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

Flash-Crash でNY金1100ドル割れ(出来高をともなった急騰急落が天底のシグナルとするならば)

2015年07月21日 19時21分21秒 | 金市場

先週末17日にドル建て金価格が昨年11月7日の下値を割ったことで、テクニカルの悪化を背景にファンドの売りが出るであろうことは、誰もが予想しただろう。17日については、前日までのイエレン議長の議会証言が伏線になり米国利上げ観測が一気に高まっているタイミングで、発表された好調な6月の住宅着工件数および許可件数とりわけ後者を好感した市場は利上げの条件が整いつつあるとしてドル買い、その反対側では金は売られという流れ。

同じ17日には、中国人民銀行が6月末時点での外貨準備にて保有する金の量を1658トンと公表。中国人民銀行が金保有を増やしていることは、暗黙の了解という範ちゅうの話。市場を、がっかりムードが覆ったのは、2500トンいや3000トンはあるだろうという推測が幅を利かせていた反動ということ。この秋にIMFのSDR(特別引き出し権)の構成通貨に人民元を入れたい中国の思惑も透けて見える急な発表とみた。まだまだ外貨準備に占める金の比率は低く(1.65%)、以前よりむしろ比率は低い。金市場における材料性としての人民銀行は今後も続きそうだ。

週明け20日のその中国、上海市場が開くタイミングにポイントを絞ったかのごとく一気に出された大量の売り注文。取引の薄いタイミングでまとまった売り物はまさに投機的攻撃というにふさわしく「HFT(高頻度高速取引)」の威力を発揮し、まさにFlash-crashで48ドルもの急落。あっという間に事前の指値注文や事前に組まれている注文をヒット(稼働)して、終わってみれば出来高も膨らみ・・・・という結果に。ファンダメンタルズは無関係の、問答無用のテクニカルのみの力技の下げ相場。

実は、17日に一度は1129.60ドルと1130ドル割れを見て引け値も安値更新で、これは月末の米4-6月期GDP速報値、また8月初めの7月の米雇用統計、その前の来週のFOMCにて利上げを示唆する文言の登場など、そのつど当面は下値を切り下げるパターンを想定していた。・・・というか下攻めを覚悟した。この土曜日午後には名古屋のセミナーにて、そういった話もしたところだった。

考えたのは、利上げ観測の高まりの中でユーロドルで表すと節目となっている5月安値の1.0819ドル割れが起きた場合、1.05ドルを方向を目指してだらだら下げる過程で金もファンドのプログラム売りで下値を探り1100割れから、さらに2010年2月の1052.8ドル辺りまでのどこでコツンと来るかと。結局、それは利上げの発表があった時、あるいは利上げが確実視された時であり、目立った下げがあり材料出尽くで反転というのは6月12日のラジオNikkeiの番組「マーケット・トレンド」でも話したところ。

だらだら下げる相場に底打ちした例は少なく、出来高を伴った下げこそそのシグナル。とすれば、形は「投機的攻撃の自己達成」であれ何であれ、20日のFlash-crashはその要件を備えたものである可能性は高いと言える。これから1ヵ月の(指標の発表を含む)各種イベントに対する反応が、それが確かなものか否かを明らかにするのではと思う。

18日の名古屋でのセミナーは、近隣の岐阜は元より、奈良、大阪からも参加いただきありがとうございました。感謝です。

終了後に、その足で名古屋から紀伊半島を南下し紀伊勝浦へ。翌日の最終便で南紀白浜から羽田に戻りました。

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