来週に迫るECBの政策理事会について書こうと思っていたが、本日日本時間の18時台からスイスフランがらみの為替(ユーロスイス)が急落のあげく、値付けも不能状態のようなことになり、にわかに風雲急を告げるようなことになった。結局、現在は日本時間の23時30分だが、この時間まで市場の動きを見ていたが、ようやく水準訂正の価格帯で落ち着きが出てきたようだ。
スイスフランというと昨年11月末に、中央銀行であるところのスイス国立銀行の準備資産の20%を金で保有すべし、という保守派の要求が国民投票に掛けられ否決されるということがあったのは、当欄を読んでいただいている方々には記憶に新しいところだろう。背景には、2011年9月6日に1ユーロ=1.20スイスフランという為替上の上限を設け、無制限介入を続けた結果、外貨準備が急増(ユーロ)、全体に占める金の比率が7%台まで下がっていたことがあった。かつて中銀資産の25%を金で保有していたのがスイスだった(発行されていたスイスフランの25%は金で裏付けられていた)。
この対ユーロでの上限を本日日本時間の夕刻というより夜に突然廃止した。歯止めを失った相場は木の葉のように舞うことになった。正確には分からないが、短時間に30%もの変動はカオスと言える。恐ろしい・・・・。値だけ飛び、売るに売れない、買うに買えない状態。
この混乱状態に金市場は反応し、日本時間の18時台から急騰、時間の経過とともに上値を切り上げ一時1260ドル台に。そこからさすがに押し戻されたものの、1250ドル前後はキープ。NYに入り売り買い交錯の中で、さらに上値をうかがうような値動きとなっている。
通貨フランの暴騰を嫌気したスイス株は逆に暴落状態。来週22日に政策理事会を開き量的緩和策に乗り出す可能性の高まっているECB。そうなると、スイスフランにはさらに押上げ圧力がかかることになるが、どこまでも介入というわけにはいかない・・・ということか。それんしても、突然の宗旨替えは市場に波乱を招くのは必至で、予想はしなかったのだろうか。