今朝の北朝鮮によるミサイル発射だが、昨夜の段階で北朝鮮国営メディアが、発射を予見させるような威嚇的なメッセージを報じ、その後日本時間午後10時前には一部のニュースにて発射準備が整いつつあると伝えられていた。しかし、本日早朝の各局のニュース番組はこのことを一切報じることなく、番組途中でいきなりJアラート放送に切り替わることになった。
昨夜ここで触れたが、そのタイミングは、NY時間で8月の米消費者物価指数(CPI)発表の直後で、強気の結果に金はまとまった売りが出て急落したところだった。この押し目は積極的な買いに急反発となったことから、“発射準備”のニュースにロボット・トレード(AIによるプログラム買い)が反応したものと思われた。結局、昨夜の下げは全値戻しとなり、CPIを材料にした売りは吸収されることになった。
逆に本日早朝に打ち上げが現実のものとなった際の金市場の反応は限定的なものとなった。週初に国連安保理でこれまで最も強い制裁決議が採択されたばかりで、目先はそれ以上のものは直ぐには考えにくいこと。さらに米国側(トランプ大統領)の反応待ちということだろう。さらに、市場に“慣れ”が生まれていることがある。この“慣れ”が曲者で、サプライズといえる出来事には、これまで以上に各市場の値動きは荒くなるだろう。
10月18日に開始日が迫る(5年に1度の)共産党大会を控え、中国側もこうした北朝鮮の動きには神経質になっているのだろう。なるべく共産党大会が終わるまで米国との間に波風を立てたくないのが足元の中国とされる。したがって北朝鮮側の動きが目に余るようならば、制裁履行に向け現実的な行動に出る可能性もありそうだ。それをトランプ政権は、待ち望んでいる。