NY金は続伸した。通常取引は前日比16.00ドル高の2614.60ドルで終了。前週末13日の2610.70ドルを上回り、終値ベースでの過去最高値を更新した。
前日の連邦公開市場委員会(FMC)にてFRBは0.5%の大幅利下げを決めたが、メンバーによる経済予測では年内残り2会合で、それぞれ0.25%利下げする見通しが示された。25年も4回1.00%の利下げを見込んでいる。金市場は利下げサイクルの初回が通常規模の2倍の0.50%になったことを改めて好感し、今後のドル金利の低下が、そのまま金利のつかない金(ゴールド)の投資妙味が増すとの見方が強まった。
0.50%利下げには、ボウマンFRB理事が理事としては19年ぶりに反対票を投じるなど、内実は際どい決定だったことがうかがえた。
ただし、総じて市場はこれを好感。利下げサイクルの積極的なスタートにより、景気に対し後手に回らない決意を示したものとして、株式市場を中心にリスクオン(リスク資産選好)セントメントが新ためて高まった。この日はドル30種平均、S&P500種株価ともに過去最高値を更新して終了した。
NY金はNY時間外のアジア時間午後に2600ドル台を回復し、ロンドンの取引時間に一時2620.50ドルまで買われ、これがこの日の高値に。その後も2600~2620ドルの高値圏でのレンジ取引が終盤まで続き、そのまま終了となった。取引時間中の過去最高値が、前日のFOMC声明文発表直後に付けた2627.20ドルだが、まさに最高値水準での滞留となっている。
先高観の強さから現物市場を含め売りの少ない状況が続いていることを思わせる。
昨日は最後に「FRBの政策転換を映す節目のFOMCを通過し、目先の動きはこれでひと段落となる。この数日の一連の動きが落ち着くにつれ、新たに生まれた金融マクロ環境や継続する様々な先行きの不透明要因に反応するNY金の動きが再開されることになる」と書いた。
本日はNY時間外のアジア時間の午後に昨日の高値(2620.50ドル)を抜け、ロンドン時間早朝に18日FOMC声明文発表直後に付けた過去最高値2627.20ドルを上抜け2630ドル台に入り、現在日本時間19時半時点でNY早朝の時間帯だが、2637.90ドルまで買われている。静かに史上最高値更新中というこのところの流れが続いている。
19日は週次の新規失業保険申請件数や9月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数が市場予想を上回る改善を見せる一方で、米商務省が発表した4~6月期の経常収支は赤字額が前期比10.7%(258億ドル)増の2668億ドルと、2022年1~3月期以来の高水準となった。国内総生産(GDP)に占める比率は3.7%と、22年4~6月期以来の高水準となった。1~3月期は3.4%だった。ちなみにピークは05年10~12月期の6.3%となっている。
経常収支の赤字拡大が続くと、足元で拡大一方の財政赤字とともに為替市場ではドルの水準を見る手掛かり材料となる。同時に金市場の関心事でもある。
さらにレバノンでは前日のポケベルに続きトランシーバーが爆発し、ヒズボラは報復攻撃を表明するなど、中東情勢はさらに流動化する気配にあることも、金市場を刺激している。
これから始めるNY通常取引に注目