8月6日の市場は、週明け早々の日経平均株価の暴落に端を発した世界株安連鎖の混乱がやや沈静化の様相を見せた。ただし、大きく下げた後の自律的な反発であり、もちろんこれで底打ちという展開とは異なる上昇。
今回の下げが何らかの金融危機や世界を揺るがす突発的な軍事衝突など、いわゆるイベント型の急落でないのがポイントと言える。
カネ余り(過剰流動性)の中で過熱していた上昇相場の自律的な反落が、AI(人工知能)導入による収益拡大見通しなどを通し「疑いのない先高期待」にまで膨れ上がっていたセンチメントが限界点に達していることを、気付かせた。 ちょうどいわゆるビッグテックはじめとする企業決算にて、ここまでのAI投資が短期的に収益につながっていない事例が増えるという現実を突きつけられ、漠然ながらパンパンに膨れ上がっていた先高期待が修正されることになった。
反落は途中でポジション解消の現金化の流れで加速したのは、強気センチメントの反転による内部要因の変化によるもので、予想外の下げにつながった。
その中で金(ゴールド)は、特にドルキャッシュを必要とする投資家により、利益ねん出と同時に、キャッシュアウト(資金調達)の対象となり6日まで3営業続落となった。
6日のNYコメックス通常取引は、前日比12.80ドル安の2431.60ドルで終了した。
先週末にかけ2500ドルを超え最高値を更新したのは、NY金先物市場でのファンドの買いが活発化したことによる。2日発表の7月米雇用統計の予想以上の減速が、高値更新のドライバーだった。しかし、同時に足の速い上昇は高値警戒感と裏腹で、利益確定の売りも同時に増えていた。そこに加わったのが株式市場の急落で、金市場の益出し売りも一時加速した。
ただし、足元で一定の落ち着きが出ている。
注目すべきは、乱高下したものの2400ドル台前半の水準を固めつつあること。
6月中のNY金の中心レンジは2300~2350ドルだった。それが一時的な2400ドル超を交えながら2350~2400ドルに切り上がったのが7月の上旬。そこから米金融政策の転換点接近を見据え水準を切り上げ、足元で2400~2450ドルのレンジを固める流れに転じている。
ファンド主導の水準切り上げゆえに乱高下を伴うが、ポイントは欧米投資マネーが金市場で存在感を増していること。
金ETF(上場投信)の残高が、7月以降増加が定着しつつあるが、6日は最大銘柄「SPDR(スパイダー)ゴールドシェア」の残高が、重量換算で3.16トン増加した。米国での資金流入と見られることから動乱相場の中で、この動向は注目に値する。