亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

NY金、波乱の市場で比較的小幅な下げ

2024年08月06日 14時23分50秒 | 金市場

日経平均株価が1日の下げ幅(4451.28円、12.4%安)としては過去最大を記録した8月5日、米国株式も幅広く売られる中で、NY金も続落した。

にわかに高まった米景気後退観測に加えドル円を中心に為替相場の乱高下、さらにAI(人工知能)投資の早期の収益化見通しへの懸念、さらにイスラエルとイランが再び交戦する可能性など、多くの不透明要因が引き金を引く形で世界的に大幅株安は伝播した。

資産の整理売りの広がりの中で、相対的な安全資産としての買いが見られる一方で、NY金は引き続き利益ねん出と見られる売りに続落に。

通常取引は前週末比25.40ドル安の2444.40ドルで終了。

 

週明け5日のNY金は、時間外のアジア午前から日本株を中心に大幅な下げに見舞われる環境の中で、買い先行の流れが続いた。アジアの午後の早い時間帯には一時2500.80ドルまで買われ、これがこの日の高値に。その後、ロンドン午前の早い時間帯まで前週末比プラス圏で推移した。ただしNY早朝には株価先物が大幅安になっていること確認すると、大きく売りに転じそのまま節目を下切り続け、一時2403.80ドルを付けるところまで売り込まれた。足元の環境の中でさすがにボラ(値動き)は大きい。 その安値水準で通常取引の時間帯入りとなり、一転押し目買いに下げ幅を縮小しながら相場は進行した。午前10時に発表された米7月のサービス業景況指数が予想外に好転していたことが判明すると、さらに下げ幅を縮小し、昼前には2450ドル前後の取引に移行、そのまま取引を終えた。

 

大荒れとなった市場の中で、比較的安定した値動きと言える。 この日のNY金の下げは、前週末比1%安。米主要3株指数は2.6~3.4%の下げ。貴金属の中でも、5日は銀が3.6%安、プラチナが5%、パラジウム5.1%安となった。ちなみにビットコインは14%安で下落率は日経平均より大きい。一時デジタルゴールドなどともてはやされていたが、ヘッジになっていない。

 

この日の米国株式市場は、寄り付きから大きく売られ主要3指数ともに3%を超える大幅安で取引を開始したものの、その後はやや値を戻した水準で、終日横ばいで推移し取引を終了した。前週から続落とはなったものの、いわゆる底割れということには至らず、日経平均の下げから連想された破壊的な動きには至らなかった。

途中でISM(サプライマネジメント協会)が発表した7月のサービス業景況指数は51.4と、6月の48.8から上昇した。市場予想の51.0も上回った。6月は2020年5月以来の低水準となっていた。主要項目の新規受注指数は52.4と、2022年12月以来の低水準だった前月の47.3から回復した。雇用指数も51.1と、前月の46.1から上昇した。

悲観に傾いていた米景気見通しをサポートする内容と言え、米国株を底支えした。

 

事前に注目されていたのは、この日ハワイでのイベントで予定されていたサンフランシスコ連銀(ハワイ、アラスカも管轄圏)デイリー総裁の講演だった。総裁は、「当局は現在、労働市場が減速しつつあることを確認した。過度に減速させて景気下降につながらないようにするのが極めて重要だ」と述べた。この発言もセンチメントをサポートした。労働市場を落ち込ませないことが中央銀行にとって「非常に重要だ」とした。

デイリー総裁はFRB執行部に近く今年の連邦公開市場委員会(FOMC)での投票権を持っている。

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