昨夜の週明けのNY市場は、G20財務相・中銀総裁会議を経ても先行きへの懸念をぬぐえずということで、個別材料への反応で金価格は上昇。シカゴ製造業景況感指数が前回の55.6に対して市場予想は53.0のところ結果は47.6という大幅な下振れで50の分岐点を下回っていた。
もともと振れの大きい指標とされるが、この結果に金が一段水準を切り上げたのは、日本時間今夜発表の注目指標、ISM製造業景況指数の前哨戦という連想が働いてのものだろう。WTI原油が直近の安値の26ドル台を記録したのが2月11日ということもあり、2月も50割れが続いたと見られる。上回っていればサプライズということになりそうだ。
さらに1月の中古住宅販売仮契約も市場予想前月比0.5増に対し2.5%減の結果となったことも、金市場では押し上げ要因となった。米国ほどの規模の大きな経済は自己完結的に回る部分も大きく、リーマンのような金融ショックがないかぎり仮に冷えるにしても徐々に進行するので、指標にもいいものと悪いものが混在するのは当然で俯瞰しながら判断ということになる。
昨夜の中国人民銀の預金準備率の引き下げは、今日の上海株がプラスで終わったところを見ると当座の歯止めにはなったということか。しかし、午前に発表された2月の製造業購買担当者景気指数(PMI)は7ヵ月連続の(好悪の境目)50割れはともかく、49.0が2011年11月以来の低水準となった。非製造業は52.7で50は上回っているものの、こちらもリーマンショック後の2008年終盤以来の水準まで下がっていた。構造転換を本気で進めるならば、こうした減速は避けられないと思われる。指標が表しているのは、製造業の落ち込みを非製造業でカバーするのは足元で難しいだろう。その減速の過程を緩やかにするのが政策対応で、3月5日に全人代(全国人民代表大会)が開かれる。
さて2月が終わりNYコメックスの金価格は月間で10.6%の上昇となった。値幅で118ドル。年始からは16.4%の上昇となる。円建て(TOCOM)では2月が円高で相殺され117円、2.7%の上昇となる。年始からは295円、7.2%の上昇。
明暗を分けたのがプラチナ(白金)で、年始から42.6ドル、4.8%の上昇となったが、円建てでは138円安、4%の値下りとなる。円の上昇率を越えられずに円建てでも下落という結果となった。リーマン以降の市場環境の中で、1番手の金とそれに追随する2番手には、大きな差が生まれるのは必定ということ。
ETFへの資金流入も続いており、「SPDRゴールド・シェア(GLD)」は週明け29日も14.86トン増加。これで年始から134.9トン増。2月だけで108.04トンの増加となった。